今週は、かねてから楽しみにしていた「いろは丸事件」です。
とりあえず、第4部からすっかりグダグダになってしまっていたので、期待半分不安半分の視聴になりました。
まずは、この「いろは丸事件」一つに1話まるまる使ってくれたことは嬉しかったです。
また、演出が梶原さんだったことも良い作用だったように思います。
この人は、比較的細かい場面をテンポ良く繋いでいくようで、リズム良く話しが進んでいくので見やすいですね。
最近の龍馬伝は、繰り返し見るとアラばかりが目立ってくるのですが、今回はアラも目立つが味もあります。
ただ、所詮は「雰囲気大河」。(笑)
じっくりと見ていくと、「いろは丸事件」のうわっぺらをサ~と流しただけでした。
結局は脚本家の不勉強で、この件での龍馬の卓越した交渉術は史実を追っかければ十分表現できると思うのですが、ネジネジ中尾がひたすら龍馬に驚くというマヌケな演出でもったいなかったです。
深い霧の中の出来事であり、事件当事者どうしの自分たちにとっての都合の良い主張ばかりが残っているので、正確な船の動きなど分からないことも多いです。
最終的には海援隊側に払うこととなった8万3千両の算出根拠となった積み荷のミニエー銃などについては、最近の調査で沈没したいろは丸と思われる船の潜水調査で発見できず、龍馬の“ぼったくり”ではないかとも言われていますが、一説によると、いろは丸沈没を防ぐために真っ先に海に捨てたという説もあるのです。
龍馬アゲアゲをするのなら、この説を採用すれば良かったのにと思います。
日本最初の海難事故とも言われる「いろは丸事件」での龍馬の動きは凄まじい。
まず、明光丸に救助された龍馬は、明光丸の航海日誌を押さえています。
これにより、明光丸が見張りを立ていなかった非が明らかになっています。
実際、明光丸の船長は逃げ回って交渉の席に着こうとしなかったのですが、これも最終的には龍馬が引っ張り出し、交渉の席に着かせたことが勝利の要因でもあります。(劇中では早々に席に着いてましたが…)
また不測の事態に備え、海援隊に資料の保全と交渉中の記録を厳命すると共に、身辺の警戒を命じています。
紀州藩との一戦も辞さないという気迫で、徳川御三家という不利な相手に対して、海援隊士を引っ張っていきます。
世論という点では「船を沈めたその償いは、金を取らずに国を取る」という歌を長崎に流行らせたことが有名ですが、同時に京都の出版元に「万国公法」の印刷を依頼し、普及に努めています。
ここらへんが、普通に「龍馬スゲー」だと思うんですけど、スルーでしたね。
そして、最終的には後藤象二郎に交渉の席への出馬を依頼。
土佐側は、日本での海難事故は例がないので、イギリス海軍提督に公平に判断して貰おうとするが、紀州藩は拒否。
劇中では出番がありませんでしたが、薩摩藩の五代友厚に仲介を依頼した結果として、海援隊側に8万3千両を支払うことになっています。
普通に、龍馬の行動力・リーダーシップ・政治力・世論操作の能力の高さゆえの勝利だったと言えるでしょう。
尺の都合もあるのでしょうが、イメージ映像ばかりでなく、このようなことを腰を据えて描いて欲しかったです。
長崎の街で「よさこいよさこい」の場面は秀逸でしたし、その後の龍馬・象二郎・弥太郎の場面なども良かっただけに、もったいないもったいない。
たまにはあまり怒鳴らない演出でも良いと思うのですが。
ただ、まあ文句もありますが、面白かったです。
苦情3点。
鬼吹っ掛けの件は、またも弥太郎ですか!
香川さんは、功名が辻の六平太を彷彿させますね。
主役の都合の悪いところを香川さんに被らせるのはやめましょうよ。(笑)
次。
陸奥陽之助の設定が変わったのはなんでしょう。
登場したときには「家老の家柄だけど、海軍塾入塾が認められそうもないから脱藩した」だったはずなのに、今回は「紀州藩の勘定奉行だったけれども失脚」に変わっていました。
なんて余計なセリフでしょうか。
そして最後は、白昼の鞍馬天狗。(爆)
先週に引き続き余計なことをしましたね。
船上の隠密に匹敵するマヌケさで、あの下手くそなチャンバラには思いっきり引きました。
第4部はミステリー仕立てということで、黒幕候補に紀州藩を上げるための演出なのでしょうが、あまりにも陳腐。
真っ昼間に、刺客も雇わずに岡本覚十郎本人が鞍馬天狗で、しかもあんな見晴らしのいい場所で襲ってくるなんてないだろ。
ついでに、これは龍馬伝に対してではないけれど、予告の終わった後の「セカンドバージン」の番宣。
これを見せたくない子供のいる家庭が0.1%くらい視聴率を下げてないですか?(笑)
来週、今更ながら、いよいよシーシーミッチーが大久保利通で登場。
予告からして悪役。
さらには、再びの新選組。
舞台が京都に移るなら、先週の高杉入水自殺や今週の海辺の鞍馬天狗などの「海」が出てこないので、終了間近の激落としは無いと思っていいのかな。