東電:賠償10兆円なら来年度、料金16%上げ…政府試算
東京電力福島第1原発事故の損害賠償を巡り、政府の東電支援策の前提となった同社の財務試算が13日、毎日新聞が入手した内部資料で明らかになった。賠償総額を10兆円と仮定し、原発から火力発電に切り替える燃料費の増加分を電気料金に上乗せ、12年度から約16%(一般家庭の場合月額1000円程度)値上げして東電に収益を確保させる。東電はこの収益を原発事故の賠償に回す仕組みで、事故による負担増を利用者に転嫁する構図となっている。
政府は14日、東電の賠償支払いを、原子力事業者からの負担金や交付国債の発行で支援する「原子力損害賠償支援機構法案」を閣議決定する方針。試算は支援策を固めるにあたっての「検討用資料」として経済産業省などが作成し、今後10年分の財務諸表などを盛り込んでいる。
試算によると、東電は支援機構の支援を得て、12年3月期から年2兆円の賠償費用を5年間計上。廃炉費用も2年間で1兆円を計上する。柏崎刈羽原発(新潟県)の運転停止が継続する場合、年約9000億~1兆円の燃料費が上乗せされ、14年3月期まで4期連続で最終赤字となる。
燃料費の増加分は、12年春に電気料金を約16%値上げして吸収する。電気料収入は約4.6兆円(12年3月期)から約5.8兆円(15年3月期)に増加。東電は15年3月期に1735億円の最終黒字を確保するシナリオだ。
11、12年度には機構を引受先に優先株を発行し、計2兆円を資本注入。賠償支払いに備えた巨額の引当金で財務が悪化するのに備え、支援機構からの資金支援を前提に引当金と同額を「機構宛て請求権」として資産計上し、債務超過を回避するとしている。また、16年3月期に金融市場での社債発行を再開し、5年間で計4.2兆円を調達する出口戦略も描く。金融機関や社債権者への支払利息は据え置き、株主配当も19年3月期の再開を見込む。【三沢耕平】
◇課題棚上げ急ごしらえ
東京電力の財務試算には、原発事故に対する東電本体や株主、社債保有者らの責任を棚上げにしたまま、電気料金を引き上げるシナリオが描かれている。この試算を参考にまとめられた賠償支援策は、東電や同社に融資する金融機関の「(5月発表の)11年3月期の決算を円滑に行うことが目的」(政府幹部)でもあり、急ごしらえの内容となった。支援策を裏付ける法案が野党が多数を占めるねじれ国会で理解を得るのは、簡単ではなさそうだ。
支援策の枠組み作りの過程で、経済産業省と東電が電気料金の値上げを前提にした案を提示したのに対し、首相官邸や民主党内からは反発が相次ぎ、4月末を目指していた決定が一時、延期された。しかし、電気料金の値上げを避ければ、東電の経営が立ち行かなくなるか、公的資金の投入で国民の痛みを求めざるをえない。結局、電気料金の値上げを前提に支援策はまとまったものの「あくまで世を忍ぶ仮の姿」(政府高官)ともいえる。
今回の財務試算を「机上の空論」と指摘する声は政府内にも強い。「社債発行が可能な格付けを長期的に維持すること」を前提としていることが、その一例だ。震災前に日本国債と同格だった東電の社債は信用力が落ち続け、市場では「信用リスクが極めて高い」と判断される「C格」に転落する可能性もささやかれている。東電に全額賠償させる枠組み自体が、東電の信用リスクを高める結果にもつながっている。
同社は「徹底的にリストラを進める」(清水正孝社長)と説明してきたが、試算に記された資産処分は3000億円程度だった。甘いリストラ策を批判された東電はその後、資産処分を6000億円に上積みした上で、人件費削減などで年間5000億円のコストを削減し、料金転嫁をできるだけ圧縮すると発表した。ただ、今回の試算からは、経産省OBが天下る公益法人への拠出金や財界活動費など「政治的な発言力を担保する資金」(経産省OB)の削減をどこまで進めるかは浮かび上がってこない。
今後は同社の経営実態を調査する第三者委員会「経営・財務調査委員会」による資産査定が東電の「聖域」にどこまで切り込むかが注目される。査定を通じてリストラなど一層の責任負担が求められれば、東電を電力事業部門と債務を引き継ぐ部門に切り分ける「新旧分離」や「発送電分離」など、事実上の東電解体論にも発展しそうだ。【三沢耕平】
毎日新聞 2011年6月14日 2時30分(最終更新 6月14日 2時50分)
東電:7月も電力料金値上げ 燃料価格上昇で5カ月連続
東京電力は天然ガスや原油など火力発電の燃料価格の上昇に伴い、7月の電気料金を値上げする見通しになったことが26日、分かった。引き上げは5カ月連続となる。
燃料価格の変動を電気料金に反映させる燃料費調整制度に基づく措置で、値上げ幅は標準家庭で月額約110円で、月額6584円程度になる見込み。
7月料金は2~4月の平均燃料価格から算出されるが、福島第1原発事故の影響は反映されていない。【立山清也】
毎日新聞 2011年5月26日 20時32分
電気料金1000円アップ=全原発停止で試算―日本エネルギー研
時事通信 6月13日(月)23時0分配信
経済産業省所管の日本エネルギー経済研究所は13日、すべての原発が停止して火力発電で電力需要を代替する場合、燃料コスト増により、1カ月あたりの標準家庭の電気料金が、2012年度は10度実績に比べ1049円増加するとの試算をまとめた。
同研究所は「産業の国際競争力への深刻な負の影響、経済成長への悪影響の可能性もある。原発の再稼働問題を真摯(しんし)に検討することが喫緊の課題」と主張している。
試算では、日本の原発54基のうち、停止中の35基が再稼働せず、19基が順次定期検査に入り運転を停止すると、2012年6月には原発発電量はゼロとなる。この結果、同年夏には発電能力が最大消費電力を7.8%下回り、全国規模の電力不足に陥る可能性がある。
また、火力発電所を高い稼働率で運転させるため、燃料の石炭、液化天然ガス、石油の消費が増え、3.5兆円の燃料調達コストが追加されるという。
東電の賠償金が10兆円なら1000円アップ。
原子力発電所が全て止まったら1000円アップ。
火力の燃料価格上昇で7月は110円アップ。
しかも、これは5ヶ月連続アップ。
いやー、独占企業はうらやましいな。
小出しにアップアップとやっていますが、この調子だと来年の3月には3000円くらい上がるのでしょうね。
しかも、電気料金は原発被災者や原発事故被害者(「風評被害者」ではない)からも取るわけですから、自分に支払われる補償金を自分も払うというマヌケな仕組み。
これは、巧みに仕組まれた関東棄民政策なのだろうか?
国は引っ越し費用の面倒なんか見たくないけれど、住めないように、住めないように、と誘導しているかのようです。
放射能で怯えさせ、汚染食品で怯えさせ、汚染コンクリートで怯えさせ、電気料金をつり上げて企業収支と家計を圧迫し、企業が消えて、人が消える。
そんなシナリオですか?