化学者が「福島原発の汚染水を浄化できる粉末を開発」
2011/4/22 8:12
仏原子力大手アレバが福島第1原子力発電所の放射性物質を含む汚染水の処理システムを提供することになり、これまで復旧作業の妨げとなっていた問題の解消が見込まれる。しかし、ある日本の化学者は、汚染水の除染が可能とされる粉末を1カ月足らずで開発したと発表。この粉末を使った場合、アレバのシステムより20倍早く除染できる可能性があり、そうなれば、最終的な目標である原子炉の安定的冷温停止に向けた作業が大幅に加速する。
この粉末を開発したのは金沢大学の太田富久教授。同教授によると、天然の鉱物と化学物質を混合した白い粉末は、汚染水に溶けた放射性物質を捕まえて沈殿させるという。1000トンの汚染水の場合では1時間で処理できる。一方、アレバの処理システムによる放射性物質の除去は1時間当たり50トンの汚染水。
太田教授は20日のインタビューで、沈殿のスピードが全く違うので、非常に早い処理ができる方法だと語った。この技術は汚染処理を専門とするクマケン工業(秋田県)と共同で開発されたものだ。同社は2008年以来、太田教授の開発した粉末を利用している。
太田教授は1週間ほど前、この放射性物質除去粉末の開発を完了した際、東電と政府に連絡し、現在も協議が続いているという。この件に関して東電と政府のいずれからもコメントは得られなかった。
同教授はアレバのシステムとの差について、化学構造の違いを理由に挙げているが、アレバによる処理について詳細を得ていないことから、それ以上の推測はできないとしている。同教授の技術は実験段階では実証済みであるが、実際に工業応用として利用されたことはない。
太田教授の技術では、汚染水中の放射性物質は粉末に吸着された後に沈殿していく。そして濁った部分の放射性物質は水と分離し、容器の底に堆積する。分離した上澄み水は透明だ。実験では、放射性ではないセシウムを1~10ppmの濃度で溶かした水100ミリリットルに粉末を1.5グラムを入れた。(福島第1原発での放射性物質の濃度は約10ppm。太田教授の開発した粉末は100ppmの濃度まで処理可能だという。)同教授によると、この浄化処理は10分で完了した。さらに数千トンの水を同時に処理する場合でも10分を大幅に超えることはないということだ。
太田教授は、放射物質をほぼ100%除去できると見ている。
太田教授の考えでは、アレバが採用したような汚染水処理施設が数カ所建設され次第、今回開発された粉末はすぐにでも福島原発での汚染水処理に利用できる可能性がある。実験では放射性物質が使われなかったが、化学的な性質は同じなので、実際に放射性物質の除去に使われた場合でも同じ結果が出ると、同教授は胸を張る。
この粉末の開発期間は1カ月足らずと非常早かった。ベースとなったのは、通常は工場付近で見つかる産業汚染物や金属汚染物の混じった汚染水を除染するために開発された類似粉末だ。太田教授はこの凝集剤の考案を6年前に始めた。マグネシウム、鉄、コバルトなどの重金属向けであったため、その化学成分は、放射性同位体のヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムにも応用できた。そして、同教授はこの凝集剤を微調整して今回発表した粉末を開発した。同教授は特許を理由に、正確な配合について開示しなかったが、原料は簡単に手に入リ、また供給量も豊富であると述べた。
太田教授はこれまで天然物質と環境汚染を専門に取り組んできたため、開発した製品が原発汚染で活用できるとは思っていなかったと語った。
〔WSJ日本版〕
前々からかなり気になっているニュースです。
何が気になるって、フランスのアレバ社に頼むと高濃度汚染水の処理をするのに1万トンが1兆円(2兆円という記述もあり)かかるというのです。
現在、高濃度汚染水は20万トンあるといわれているので、これだけで20兆円(40兆円)かかるわけです。
今年の国家予算が約90兆円であることを考えれば、これは恐ろしい価格です。
太田教授が発明したこれですと、1トン5万円。
1万トンですと5億円ですから、20万トン処理をしても100億円で済むわけです。
しかも、汚染水の処理能力も格段に上。
なぜ採用しないのかが不思議です。
しいて政府よりに考えてみると、公共事業というのは「実績」がものを言うそうです。
数年前まで、スピード違反を取り締まるオービスのシステムには「ウィンドウズMe」が使われていたそうです。
実績があって、システムの変更がないということが理由だそうです。
そうだったとしても、20兆円とも40兆円といえども、これは税金か電気料金から支払われるものになるわけです。
ただでさえ、復興のためには内需拡大が重要なときに、右から左にフランスへお金が流れては、経済効果などあったものではありません。
菅は経済音痴だから、そんなことも分からないかもしれない。
しかし、現在行われているフランスでのサミットで、あの日本嫌いのサルコジ氏がニコニコでもてなしたりするのには、濡れ手に粟で大金が転がり込んでくるからに違いないと思ってしまいます。
真面目に、菅に政権を持たせ続けると国が傾く。