もんじゅ、つり上げ器具に不具合/装置落下トラブル
2010/08/29 19:51
高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の原子炉容器内に装置が落下したとみられるトラブルで、日本原子力研究開発機構は29日、つり上げ装置の器具に不具合があったと発表した。
原子力機構によると、つり上げ装置は先端に付いた二つのツメで重さ約3・3トンの「炉内中継装置」をつかみ引き上げる。ツメを開閉させる器具が正常な位置から約90度も回転、つかむ力が緩くなって落下した可能性がある。
7年前に点検した際は、異常は見つからなかったという。
もんじゅでは26日、燃料交換に使う「炉内中継装置」をつり上げた際、原子炉容器内で落下したような衝撃音がした。
もんじゅ運転1年遅れも/落下装置の内部が変形
2010/11/09 20:11
日本原子力研究開発機構は9日、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の原子炉容器内に8月に落下した「炉内中継装置」内部が変形していることが分かり、これまで試みたつり上げによる回収は不可能になったと発表した。
今後の回収では、原子炉容器の上ぶたの一部撤去など大掛かりな作業の必要性が指摘され、来年7月にも始まるとみられた40%出力試験は大幅に遅れる可能性が高まった。関係者によると、少なくとも数カ月、長ければ1年程度の遅れが見込まれるという。原子力機構は「今後の日程を示せる状況ではない」としている。
装置内部で燃料を出し入れする筒状の「案内管」の接続部分が変形した。落下の際の衝撃が原因とみられる。原子力機構が装置回収に向けて9日に実施した調査で見つかった。装置は使えない状態になっていることも判明した。
装置外壁も外側に反り返ったような状態に変形した可能性があるという。外部からも装置を調べ、回収策を検討する。
原子力機構によると、原子炉容器上ぶたに固定された装置の導入部ごと引き抜く方法や、案内管を温めて管の内径を広げて取り出す方法などを検討しているという。
高速増殖炉「もんじゅ」課長が自殺 トラブル復旧を担当、今月中旬から不明
日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で昨年8月に原子炉容器内に炉内中継装置が落下し、抜けなくなっている問題で、復旧作業にあたっていた燃料環境課の男性課長(57)が自殺していたことが22日分かった。
関係者によると、課長は今月14日、同市内の山中で遺体が発見された。現場付近から遺書なども見つかったことから、自殺とみられるという。今月中旬に行方不明になり、家族から福井県警敦賀署に捜索願が出されていた。
燃料環境課は、燃料交換などを扱う部署。40%出力試験に向けた昨年夏の炉心確認試験前後からトラブルが多発している。関係者によると、同課は国のヒアリングなどを受ける機会も多く最も忙しい部署。課長も同部署の勤務が長かったという。
もんじゅ、装置引き抜き手順了承 検討委、事故原因つかみ具設計
(2011年2月25日午前8時05分)
日本原子力研究開発機構は24日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器内に落下した炉内中継装置の回収に向け、外部有識者による検討委員会の第2回会合をもんじゅで開いた。原子力機構が同装置を同容器上ぶたの一部「スリーブ」と一体で引き抜く具体的な作業手順を説明し、委員会は了承した。
一方、落下原因について委員会は、グリッパー(つかみ具)の設計に問題があったとの認識で一致した。
装置を引き抜く具体的な手順としては、原子炉容器内のガスを隔離する覆いを付け、仕切り弁や同装置の案内筒などの大型構造物を撤去する。その後、じゃばらの簡易容器を設置し、スリーブと一体で引き抜いた同装置を回収する。
火災防止のため、覆いの中の酸素濃度を2%以下で管理するなどの安全対策をとるという。スリーブと同容器上ぶたがナトリウムで固着している場合に備え、ジャッキも用意する。
会合に加え、委員7人は原子炉建物で炉上部を実際に見ながら説明を受けた。委員からはガスの隔離方法やリスク管理などに対し意見が出たという。
会合後、記者会見した竹田敏一委員長(福井大附属国際原子力工学研究所所長)は「作業の経過は確認するが、引き抜きは安全に実施できるとの結論に至った」と説明した。その上で「重量物もあり、慎重に行ってほしい」と注文を付けた。
一方、装置はつかみ具内部のねじが緩んだために落下したことを受け、原子力機構が1月に行った模擬再現実験の結果も報告された。つかみ具を輸送容器に入れて動かす際と同じような振動を加えた結果、ねじが回転し、通常の取り扱いでもねじは緩むと確認したという。
竹田委員長は委員会の一致した認識として、設計に問題があったと指摘。原子力機構も「(原因として)極めて有力」と認めた。
原子力機構は春ごろから、同装置の案内筒や仕切り弁など大型構造物を撤去し、同装置を引き抜く。秋までの復旧を目指す。委員会は引き抜き作業前に次回会合を開く。
長い引用になりましたが、福島よりは少々マシというレベルで、福井県の「もんじゅ」もかなりの危機的状況です。
大雑把に言ってしまえば、炉の中にクレーン(だと思う)が落っこちてしまったようです。
しかも、8月の事故から24回にわたって取り出そうとしたのですが、全て失敗。
炉に突き刺さって変形しているようです。
「もんじゅ」はナトリウムを冷却剤に使っているので、空気に触れても爆発するし、水をかけても爆発するそうで、いま現在は燃料棒を抜き差しして炉内の温度をコントロールして最悪の事態を先送りしているそうです。
また、「もんじゅ」の下には断層も見つかっており、この断層が動けば直下型地震をくらい、3.3tの重さのつかみ具が炉の中をシェイクする可能性もあり、そうなれば燃料棒はぐしゃぐしゃになるということです。
記事の通り、担当課長は自殺までしています。
どうしようもない状態が続いていたようですが、どうやら次の作戦が、記事を書いている間に発表されました。
せめて、こちらは無事解決して欲しいものですが、これも断層の上にある以上は、現在電力を供給しているわけでもありませんし、廃炉という方向に向かって欲しいです。