東日本大震災:福島・須賀川、カヤから微量セシウム 「松明あかし」苦渋の選択
◇「風評」より「安心」優先、市外産を使用へ
約420年前から伝わり日本三大火祭りに数えられる福島県須賀川市の「松明(たいまつ)あかし」。今年も11月12日に開かれるが、福島第1原発の事故により、松明の材料となる地元産カヤから微量の放射性セシウムが検出され、急きょ遠方から材料を集めることになった。市民の安心を優先した判断だったものの、「福島産」への風評被害と闘う県民からは「県内でも地元産を排除するのか」との声も。関係者の悩みは深い。【喜浦遊、太田穣】
松明あかしは、高さ約10メートル、重さ3トンの大松明を中心に約30本が夜空を焦がす勇壮な火祭り。1589(天正17)年の戦いで伊達政宗に敗れた須賀川城の武者を鎮魂するために始まったとされ、市や観光協会が実行委員会を作り開催、例年10万人以上が訪れる。
東日本大震災では須賀川市でも農業用ダムの決壊などで住民が亡くなった。「震災犠牲者の鎮魂のために」と準備を進めていた7月、地元の中学教諭から市に「放射性物質は大丈夫か」と問い合わせがあった。同市は第1原発から約60キロ離れているが、広範囲で稲わら汚染が問題化していた。松明には、市内の休耕田などで細長く伸びたカヤを刈り取って使ってきた。「あれもイネ科だよな……」。実行委内ではそんな不安もよぎり、民間機関に検査を依頼。地元産のカヤから1キロ当たり84ベクレルの放射性セシウムが検出された。
市の放射線環境アドバイザーを務める佐藤理夫福島大教授は「燃やしても健康に問題はない」との見解を示した。だが、松明作りには中高生も参加する。実行委は中止も含め検討した結果、「原発や放射能に負けてはいけない」と意見が一致。その上で「子供たちに安心して参加してほしい」と、須賀川産の材料を一切使わないことを決め、9月上旬からホームページなどで材料のカヤや竹を広く募集した。
ところが市観光交流課には「福島産の安全性を一生懸命アピールしている今、逆行するようなことをするのはおかしい」との批判が相次いだ。実家が果樹農家を営む同課職員は、桃やリンゴが売れずに苦労していた両親に「なぜだ」と詰め寄られ、返す言葉がなかったという。
一方、実行委の呼びかけには全国が応えた。松明の外枠に使う竹は大阪や福井、中に入れるカヤやススキも愛知などから無償で提供があり、開催に必要な松明23本分の材料をようやく確保できた。実行委は当日、提供者を招き、復興ののろしにしたいという。
10月に入り、市内では松明の枠作りなどが本格化してきた。30年にわたって作業に携わる松永幸男さん(78)は「例年より1カ月遅れ。でも、みなさんのおかげでやれることがありがたい」と休みなく手を動かす。地元の竹とは弾力が違い、しまり具合を何度も確認しながらの作業。「早く須賀川の竹とカヤでやれるようになるといい」と願う。
今年は震災8カ月にあたる11月11日に、キャンドルをともす「ろうそくあかし」も開く。斎藤直昭・市観光交流課長は「風評に惑わされず、多くの人に須賀川を訪れてほしい」と呼び掛ける。
毎日新聞 2011年10月9日 東京朝刊
なんか「ふ~ん」って感じの記事です。
この記事を読んじゃうと、京都の五山送り火や、こっそりと燃やした箱根の大文字、成田山や花火大会など、あちこちで物議をかもし出した出来事は何だったのだろうかと思う?
もちろん、福島の人の福島の祭りだって、福島のものは使わないほうが良いに決まってます。
ただ、
>「風評」より「安心」優先
なんて書かれちゃうと、謝る意向を示しても門前払いを食らった市長や謝りに行った市長までいるのに、騒いだのは誰だと思います。