独自検査増える食品の放射性物質 消費者の不安に応える
2011.10.5 09:00
食品に含まれる放射性物質(放射能)を独自に検査し公表する食品メーカーや販売店が増えている。放射性物質については、自治体がモニタリング検査を行っている。しかし、民間の独自検査を歓迎する消費者も多く、食品を扱う企業にとっては悩ましい問題となっている。(平沢裕子)
消費者の要望多く
雪国まいたけ(新潟県南魚沼市)は、キノコ類やカット野菜について独自検査を行い、ホームページで結果を公表している。東京電力福島第1原発事故後、同社のツイッターに「放射性物質を調べてください」といった要望が多数寄せられたことに応えたものだ。検査のため、1台1500万~2千万円のゲルマニウム半導体検出器を2台購入、検査人員も増員。コストアップ分は光熱費の節約などで乗り切り、商品価格に上乗せはしていない。
マーケティング部の対馬秀夫係長は「1986年のチェルノブイリ原発事故後、キノコが放射性物質を取り込みやすいと思っている消費者もいる。独自検査をすることでやっと納得してもらえている状況。小さい子供を持つ母親の不安は大きく、消費者の安心のために行っている」と話す。
1都7県の生協と事業連合で構成されるコープネット事業連合(さいたま市南区)も、農産品や水、牛乳、卵など放射性物質への不安度の高い食品を中心にモニタリング検査を実施、結果を公表。やはり福島第1原発事故後、各地の生協に「商品の産地を教えてほしい」「原料は原発事故より前のものか」などの問い合わせが寄せられた。品質保証本部の太田憲治・本部長は「国の検査は自治体まかせで、消費者の不安に十分応えられていない。本来なら食品の安全は行政が確認すべきだが、消費者の要望も多く、やらざるを得なかった」と打ち明ける。
風評被害の原因にも
外食産業のゼンショーは早場米、スーパーのヨーカドーやイオングループもコメや肉などについて自主検査を実施している。
ただ、市場に出回っている食品は既に自治体によってモニタリング検査が行われている。「独自検査をしているメーカーや店の商品の方が安全」と思う人は多いが、実際に消費者の口に入るものを検査することはできないため、食品の放射性物質のリスクの変化には寄与しない。
近畿大学農学部の有路(ありじ)昌彦准教授(食料経済学)は「過剰な検査によるコストは最終的に消費者負担になる。独自検査をしていないものは『安全でない』という印象も与え、新たな風評被害の原因になる。リスクに対して過剰に反応するのではなく、正しく怖がることが大切だ」と話している。
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【用語解説】モニタリング検査
モニタリングとは「監視する」という意味で、食品のモニタリング検査は、食品の安全を確認するため、出荷前の野菜やコメなどを数点選び、検査する。食品に含まれる放射性物質を測るのに最も精度が高いとされるのは「ゲルマニウム半導体検出器」。検査のためには食品を細かく切り刻む必要があり、検査をしたものは商品として流通させることはできない。
基本的に、大手というものの食品は信用できないと思っています。
とくに、そこのお店で作るのではなく、下ごしらえまで工場で済ませているようなファミレスは信用しがたい。
個人のお店が、一つ一つを自分の目で仕入れて、一つ一つ下ごしらえしているお店というのは、当たれば本当に安くて美味い。
しかし、この原発事故は、このままでは良心的な個人食堂を壊滅させてしまう恐れが高い。
ゲレモバの「食道楽」に載せているお店や、載せていないお店などがありますが、東北・関東のそのようなお店には、いくら美味いことが分かっていてもしばらくは立ち寄る気にはなれない。
そこのお店が、ハッキリと放射性物質を気にしているのなら話は別です。
原発事故以来、日本は二つに分かれてしまった。
放射能を「気にする」人と「気にしない」人。
厳密にいれば、「気にするけれども理解できない」人も多いでしょう。
私だって、理解しきっているとは思っていないし、人口密集地への高濃度汚染は、チェルノブイリをなぞっていても想像できないことも多いはず。
まあ、そういうことも含めて、ゴチャゴチャです。
国民の意識がこのような状況ですから、「被災地支援」を打ち出している店もあれば、記事のように「放射性物質排除」を打ち出すところも出てきています。
しかし、「放射性物質排除」は、被災地支援にはならない可能性もある。
暫定規制値がまやかしということも明らかになってしまうでしょう。
0Bq、10Bq、測定をしていないという3種類の食品があった場合に、それらにイメージだけで価格差が生まれるのは当たり前。
そのときに、お店の責任を考えて少し高くても0Bqの食品を買うお店もあれば、お店の責任よりも利益を優先してそれよりも価格の落ちるお店もある。
無意識なお店は、それらのものが混在してしまう。
さまざまなことが考えられる。
そう考えると、自社検査というのはこれから重要なポイントになってくる。
しかし、検査機の価格を考えれば、個人商店が手を出せる価格では到底ありません。
また現実問題として、放射能汚染なんてイメージに負うところが大きいので、そこまで投資をする価値があるかも分かりません。
最近になって、きのこの汚染が現実的になって来ましたが、福島ならダメと思う人は多いでしょうが、長野は?岐阜は?となったときに、人の気持ちはかなりブレるでしょう。
ゆえに、どうしても個人食堂はグレーのところが多くなってしまう。
個人商店を守ることは、日本のここの家庭を守ることにもなります。
出荷先や販売先で、出来ることなら二重・三重のチェックをして、日本国民に放射性物質を食わせないようにしないと、その未来はチェルノブイリをなぞれば答えは出ています。
それが、軽いか重いかの違いくらいなもんです。
政府は、安価で高性能な検査機の研究を補助すべきですし、購入に補助を出すべきです。