飯舘ブランド未来へ 独自品種カボチャ収穫 福島
(10月14日)
東京電力福島第1原子力発電所の事故で計画的避難区域となった飯舘村。同村オリジナル品種のカボチャ「いいたて雪っ娘」が、福島市内で収穫期を迎えた。同品種の育成を進めてきたイータテベイクじゃがいも研究会が、避難先の同市内で栽培に励んできた。会長の渡邊とみ子さんは「今年も絶やさず栽培し、おいしくできて良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。
〔日本農業新聞〕
へっ?
なにそれ?
食えるの?
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飯舘ブランド未来へ 独自品種カボチャ収穫 福島
(10月14日)
東京電力福島第1原子力発電所の事故で計画的避難区域となった飯舘村。同村オリジナル品種のカボチャ「いいたて雪っ娘」が、福島市内で収穫期を迎えた。同品種の育成を進めてきたイータテベイクじゃがいも研究会が、避難先の同市内で栽培に励んできた。会長の渡邊とみ子さんは「今年も絶やさず栽培し、おいしくできて良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。
〔日本農業新聞〕
へっ?
なにそれ?
食えるの?
ラニーニャ発生すれば暖房需要強まる可能性-原発止まる関電は綱渡り
10月14日(ブルームバーグ):「ラニーニャ」が発生すると東日本以西で気温が低くなり、暖房需要が強まることから年内に3基の原子力発電所が停止する予定の関西電力の供給は綱渡りになる可能性が強まっている。
政府はほとんどの地域では今夏、大口需要者を対象に実施した15%の節電を繰り返すことはないとしている。しかし、関電など電力会社は今冬の電力需給見通しを完了していない。
エネルギー経済研究所の研究員、永富悠氏は冬の電力需給が綱渡り状態で、政府が電力の使用制限令を出すことはないだろうが、節電の要請は必要になるとの見通しを示した。
共同通信によると、関電が14日、管内の利用者に節電を要請する方針を固め、節電策の協議に入った。
原発54基中、稼働中なのは10基。安定した電力供給に不透明感が強いことから世界2位の建設機械メーカー、コマツなど一部企業は工場の海外移転を検討している。
7月に政府が発表した電力需給見通しによると、関電管内では今冬に需要が供給能力を8.4%上回る可能性がある。年末までには3基の原発が定期点検で止まることから、国内電力会社で最も原発依存度が関電の稼働中の原発は1基になる。来夏には19%に達する見通し。東京電力では今冬に1.1%、来夏に13%の不足が見込まれる。
東日本大震災の被災地域に電力を供給する東北電力は今冬、7%の電力不足に直面する。地震の影響で水力発電所23基(出力95万キロワット)が運転を停止している。東北電の広報担当者は厳しい冬になりそうだと述べた。
経済産業省・資源エネルギー庁電力・ガス事業部の三田紀之・政策課長は今冬の使用制限令を回避するための対策を策定中だと述べた。三田氏は「7月時点よりも供給余力を積み上げるために自家発電設備を持つ事業者にもっと発電するよう要請するなどいくつかの選択肢を検討している」と語った。
ラニーニャ発生か
気象庁は11日、太平洋赤道域の中部から東部にかけて海面水温の低い状態が続いていることから、異常気象の原因となるラニーニャ現象が今冬にかけて発生する可能性があるとの監視速報を出した。気象庁情報管理官の三河哲也氏は「ラニーニャが起きれば、いつもより寒い冬になる」と述べた。
いままでは放ったかしだったくせに、いきなり大騒ぎですね。
融通しあえば、電気は足りる。
ガタガタ言わずに、原発抜きで電気を作る努力をしなさい。
1号機の原子炉建屋、カバーで覆われる
東京電力は14日、福島第一原子力発電所1号機の原子炉建屋カバーの組み立てが終わったと発表した。
空調や照明の動作確認を急ぎ、今月中の完成を目指す。
カバーは縦42メートル、横47メートル、高さ54メートル。鉄骨にポリエステルのシートを張り付け、水素爆発で破損した原子炉建屋をすっぽり覆った。内部の空気はフィルターを通して排出、放射性物質が直接大気に放出されるのを防ぐ。
東電は今後、1号機と同じく原子炉建屋が爆発した3、4号機にもカバーを設置したい考えだが、散乱したガレキの撤去に手間取っており、着工は来年夏ごろになるという。
(2011年10月14日19時52分 読売新聞)
東電のライブカメラも、一番手前の1号機が覆われてしまって、のんびりとした雰囲気になってしまいましたね。
2号機は、爆破はしていないので見た目は大丈夫。
3号機は絶妙に街灯や塔に隠れていますし、4号機は遠すぎ。
使用済み核燃料共用プールは、隠すためにわざわざ植えたという噂の植え込みで見えません。
ただ、それでもよく見れば、モクモクと水蒸気(煙)が上がっているのが見て取れます。
とくに、ふくいちを震度3以上で揺らす地震が来ると、建屋周辺は真っ白になってしまうので、何かが起こっているのでしょう。
「ストロンチウム飛来ない」見解修正
2011年10月14日
横浜市港北区のマンション屋上からストロンチウム90が検出された問題で、山田正人副市長は13日、「ストロンチウムは重いから横浜に飛んでこない」と言い続けた市の見解について、「必ずしも放射能の知識を十分に習得していたわけではない」と説明し、遠回しに修正した。この日の市議会決算特別委員会で答弁した。
豊沢隆弘保健所長が11日の同委で「ストロンチウム90は半減期が長く、核実験の影響で1960年代には高い濃度で出た。最近でもわずかに検出されている」と原発事故との因果関係を否定するような答弁をしたこともやり玉に。「築7年のマンションに、30年以上前の核実験の影響はあり得ない。根拠のない無責任な発言だ」との批判を受けた。
山田副市長は「我々の知見は十分ではない。保健所長もその時点におけるベストを尽くした答弁をしている」とあいまいな答弁で締めくくった。
(佐藤善一)
3月12日の時点で、ストロンチウムやプルトニウムが本当に来ないと思っている人は、現在、行政の地位に就く資格はないでしょう。
知っていて、何らかの都合でばっくれてくれていた方がまだ信用できる。
>知見は十分でない
なんて言っている方は、縁側でお茶を飲んで孫とでも遊んでいたほうがいい。
横浜市はグチャグチャだなぁ。
福島米、不検出のみ販売 安全性アピール 全農県本部
全農福島県本部はことし収穫された県産米について、県の検査で放射性物質が検出限界値(1キログラム当たり5~10ベクレル)を下回った「不検出米」だけを販売する方針を決めた。検査では全地点で国の暫定基準値(500ベクレル)を超えず全量が出荷可能となったが、福島第1原発事故で販売不振が予想されるため、不検出米の限定販売で安全性をアピールして販売促進を図る。新ふくしま農協(福島市)など複数の単位農協も同様の措置を取る。
販売対象は不検出と判定された県内964地点のコメ。全検査地点1174地点の82.1%を占める。不検出地点周辺のコメの販売を想定しているが、具体的な線引きをどうするかは現在、検討している。
福島米のことしの収穫量は約35万トンの見込み。全農福島の集荷量は約10万トンと予想され、このうち8割を超す量が不検出米とみられる。
福島県の限界値は他県の限界値(20ベクレル)より厳しい。福島の限界値以上の値のコメでも7割は他県の限界値を下回っており、全農福島はこれらのコメも不検出米とみなせないかどうか検討する。
放射性物質が高水準で検出されたコメは精米後の数値を検査し、販売の可能性を探る。販売対象から外れたコメを出荷した農家にもコシヒカリで60キログラム当たり1万1000~1万2000円の概算金が支払われるため、経済的には大きな痛手を受けないという。
全農福島は卸業者に1万5000円台半ばで販売したい考え。価格が低迷した場合は東京電力に賠償請求する。
岩沢清隆米穀部長は「市場の目は厳しく、県産米の引き合いは鈍い。少しでも多く買ってもらうために安全性を訴えたい」と話している。
一方、新ふくしま農協は管内の福島市と川俣町の計約1500戸のコメ農家を対象に各戸最低1検体ずつ検査し、不検出米に限って販売する。
ことし予想される集荷量は約2700トンで、6割を全農に出荷し、4割を独自販売する。不検出米の限定販売は独自販売のコメを対象とする。
2011年10月14日金曜日
〔河北新報〕
その不検出が、あまりにも多すぎて不信感がぬぐえないのですが。
ゾッとする保安院の内部文書 3・11翌朝の菅首相原発視察
2011年9月15日 掲載
無謀 乱暴 狂気が証明された
やはり、一歩間違ったら、想像を絶する放射能大惨事になっているところだった。
大地震・大津波で福島原発が壊れた3・11の翌日早朝、菅首相がヘリで原発を視察したが、実は内部はとんでもない事態だったことが明らかになった。
経産省の原子力安全・保安院が福島原発事故の翌日、格納容器の圧力が急上昇していた1号機のベントが失敗した場合、敷地内の被曝線量が致死量に達するとの内部文書を作成していたのだ。このほど情報公開法に基づき開示された保安院の資料によれば、さらに「3~5キロの範囲で著しい公衆被曝の恐れがある」との記述もあり、保安院が早い段階でチェルノブイリ級の事故を予想していたことになる。
資料は3月12日午後1時ごろに作成され、午後2時2分に原子力安全委員会にファクスされた。1号機で水素爆発が起きたのはその1時間半後、午後3時36分だった。
「この資料で重要なことは、大震災翌日に1号機の格納容器が破裂する確率がすごく高まっていたことです。それで東電は、内部のガスを外部に放出するベント作業の検討に入っていたのですが、菅首相と班目原子力委員会委員長が早朝5時半から、現地をヘリで視察したから不思議なのです。そんな危機状態のときに、なぜ菅首相は防護服も着ないで、わざわざ命を捨てるような無謀な行為に出たのか。ナゾがますます深まったわけです」(野党関係者)
菅首相が視察している間、もちろんベント作業は停止。で、首相が官邸に戻ったのを確認した午前10時すぎから、ベント作業に着手。しかし、停電や冷却装置故障でうまくいかず、やっと午後2時半にベントは「成功」したことになっている。建屋内にたまった水素が爆発して、建屋は吹き飛んだが、格納容器破裂という最悪の事態は免れたのである。
それだけに、ゾッとしてくる。菅首相の視察がモタつき、もしベント作業が大幅に遅れていたら、それこそ原発周辺は本当の「死の町」になっていたわけだ。なぜ、菅首相は東電などに任せず、大惨事を呼び込むような乱暴で余計な視察をしたのか。やはり頭の中がパニックで精神状態に異常をきたしていたのか。
首相退陣後、メディアをハシゴして言いたい放題の菅は、たとえば朝日新聞のインタビュー(6日)では、ベントの遅れについて「今でも理由は分からない」「(ヘリで視察したのは)現場の状況が正確に伝わってこないから」なんて自己弁護していたが、この意味不明の視察行為だけでも完全に総理失格なのだ。
それに今頃、保安院の内部資料が開示されたのも、菅の現役中だったら、「命取り」になるものだからなのだろう。
〔Gendai.net〕
地震直後から、延々とテレビを見続けていての感想ですが、私は、菅前首相は「ベントをすれば解決」すると思っていたのだと思います。
あの晴れがましい顔でヘリコプターに載っていく姿は脳裏に焼きついています。
作ったような真剣そうな顔でしたが、そこには妙な自信と余裕が感じられました。
私は、いまだに福島第一原子力発電所事故は菅前首相が引き起こしたと思っています。
日付が変わった辺りから、東電と官邸でベントの時期についての綱引きがあったと、放送の流れから感じていますし、そこに菅の視察が加わったために、東電が押し切られたようにも感じています。
あとになって、いろいろと作り話が加わっていますが、この印象を覆すような事実はいまだに見当たらない。
仕方なかった部分があることも感じていますが、1号機のベントが速やかに行われていたら、3・2号機についても違う展開があったのではないかと思います。
そして、東電に警察の手が入れないのも、ここら辺が原因ではないかと感じています。
「放射線影響 日本でも」 チェルノブイリ事故の独専門家 高崎で講演
2011年10月14日
一九八六年に旧ソ連で発生した「チェルノブイリ原発事故」を約二十年間現地などで調査してきたドイツ放射線防護協会のセバスチャン・プフルークバイル会長が十三日、高崎市中室田町の社会福祉法人「新生会」で開かれたシンポジウム「東日本大震災と原発事故」に参加した。プ会長は「欧州のように日本でも子どもたちの体に深刻な影響が出るだろう」と述べ、福島第一原発事故後の対応に警鐘を鳴らした。 (菅原洋)
プ会長は旧東ドイツの学術アカデミーで医療関係物理学を教えた理学博士。東西ドイツ統一過程の暫定政府で大臣を、統一直後のベルリンで市議を務めた。チェルノブイリでは子どもの発がん率調査に力を入れ、九月下旬からの来日中に福島県も来訪した。
シンポジウムはドイツから青年を受け入れるなどの交流を持つ新生会が、初めて企画。県内各地から福祉関係者や市民など計約八十人が来場した。
プ会長は「政府や電力会社が『原子力を平和に使う』と主張することが、市民をだます行為につながる。チェルノブイリもそうだった」と指摘。
チェルノブイリの事故後、「ドイツでも欧州各地でも、出生児の異常などが増えている。事故当初、政府などは『放射線量が低いので影響はない』と説明したが、実際は違った。日本でも影響が出るだろう」と険しい表情で語った。
また「日本政府は全ての食べ物が安全と保証できないだろう。欧州では、市民が自分で放射線量を測ってきた」とも述べた。
シンポジウムには、旧ベルリン工科専門大のオイゲン・アイヒホルン元教授、福島県などで知的障害者施設を運営する社会福祉法人・牧人会の山下勝弘理事長らも参加。反原発への持論を展開した。
わかんないのが、中国の毒入り餃子とか、農薬漬けうなぎなどのときにはあれほど過敏に反応したこの国民が、放射能によって徹底的に食品が汚染されまくっているのに、のん気なこと。
ただちに影響が出ないだけで、特に子供には影響が出やすいのに。
暫定規制値の500ベクレルという数値があまりにも異常に高すぎるせいか、みなさんは10や20ベクレルを低い数値と思っているようですが、ドイツでは10ベクレルもあったら流通できません。
下限値を40ベクレルや20ベクレルに設定して、「きちんと測定している」と鼻高々な企業も出てきましたが、ぜんぜん威張れた数字ではありません。
日本人はどうしちゃったんだろう。
世田谷の高線量 各区、対応に追われる
2011年10月14日
世田谷区弦巻の民家脇の区道で高い放射線量が測定されたことを受け、ほかの区の住民にも不安が広がり、各区役所には十三日、問い合わせが相次いだ。世田谷区などは区道の放射線は福島第一原発事故との関連は薄いとみているが、身近になった放射能問題に敏感に反応する住民の不安を払拭(ふっしょく)するため、各区とも対応に追われている。
世田谷区に隣接する杉並区では、この日午後四時までに区民から六十五件の問い合わせがあったという。同区は今後、児童館、区民農園の空間放射線量の測定を予定している。「これまで区内五百カ所以上で測定してきたが、区民の安全、安心のため、より身近な場所の測定結果を公表していく」という。
豊島区では問い合わせが十四件あり、区の取り組みを説明した。区は小学校、保育園の三カ所で週一回測定する定点観測を続けており、追加の測定をする予定はないという。区内でこれまでに測定された最高値は〇.二一マイクロシーベルト(一マイクロはミリの千分の一)だったという。
千代田区は小中学校通学路周辺の放射線調査の検討を始めた。区内の放射線を心配する問い合わせの電話は二件ほどだったが、区は「原因はともかく区民の不安を払拭するため対応したい」としている。江東区には同日、「公園を調べて」「もっと細かく線量調査をして」などという要望が数件寄せられたが、五月に亀戸で土壌から高濃度のセシウムが検出された時の方が反応は多かった。
大田区では、住民らの測定結果を受けて、区として調査に乗り出す基準を毎時〇・二五マイクロシーベルトに定めている。これまでに学校からの連絡で基準を超えていたケースがあり、区は小中学校のうち花壇と接する雨どいを調査し、線量の高かった十三校で花壇などの立ち入り禁止にしている。
北区でも十三日、小学校の体育倉庫裏で、毎時一・〇一マイクロシーベルトの放射線量が測定され、周辺が立ち入り禁止になった。区は今後、土の入れ替えを検討。十月末から、区内全小中学校、保育園、幼稚園で、校庭以外の五地点を再測定する予定という。
市民団体による調査の結果、区内五十六カ所で毎時一マイクロシーベルト以上が測定され、うち八カ所は同三マイクロシーベルト以上だった葛飾区。十八日に市民団体が区側に調査結果を説明する。
団体が調査したのは、区側がこれまで調査対象に含めていなかった民間施設が中心。同会は「民間建物の除染も必要」とし、調査対象の拡大と、その調査結果を踏まえた除染を区に要請する方針だ。
ネット上では、荒川区が測定を拒否しているというのが話題です。(真偽不明)
測っていないといえば、丹沢山麓やその周辺も気楽なもんです…。
東電“延命”のコストとリスク
2011年10月13日(木)
「東京電力に関する経営・財務調査委員会」(第三者調査委、下河辺和彦委員長)が野田佳彦首相に報告書を提出して1週間あまり。焦点は10月中に東電と原子力損害賠償支援機構がまとめる「特別事業計画」に移った。だが、報告書の内容が暗示するように、向かうべき道筋は東電の“延命”や原発再稼働へとレールが敷かれている感がある。頭(こうべ)を垂れて霞ヶ関の軍門に下った感のある民主党政権。その無力感が育む官僚主導政治がポスト・フクシマの日本国民や企業に新たなコストとリスクを抱え込ませつつある。
玉虫色の報告書
「枝野(幸男)大臣も弁護士出身で法律家だが、政治家としての発言もあるかもしれない。当該事業会社が債務超過になっていないのに、国民がそれを望んでいるからといって(債権を)カットして当たり前だろうというのは、法律家の常識として通るところではない」
10月3日、報告書を提出した後の記者会見で下河辺委員長は、争点の1つだった金融機関への債権放棄要請についてこう述べ、対東電“急進派”と目される枝野経産相を牽制した。この下河辺発言が、第三者調査委の方向性、ひいては「東電問題」に対する政府のスタンスを象徴している。第三者調査委の報告書は時間軸を様々に前後させることによって、東電の経営・財務状況を都合よく玉虫色に変化させている。
報告書によると、まず、2011年3月期末時点で東電は1兆2922億円の純資産があり、「債務超過ではなく資産超過の状態にある」としている。この「債務超過にあらず」という断定が上記の下河辺発言の根拠になっているのだが、東電の四半期決算ベースでみると、10年12月末から11年3月末までの3カ月間で、同社の純資産は1兆3797億円減少しており、続く11年3月末から11年6月末までの3カ月間では5515億円減っている。
言うまでもなく、3月11日に起きた東日本大震災と福島第1原子力発電所事故に伴う損失計上が主因だが、今後本格化する賠償費用について東電は11年4~6月期に3977億円を見積額として計上したのみ。調査委報告書では賠償開始から2年間だけで原発事故被害者への賠償費用は総額4兆5402億円に達すると見積もっている。純資産の3・5倍の賠償負担が今後降り掛かるわけで、9月12日に発足した原子力損害賠償支援機構からの資本注入がなければ、債務超過が不可避なのは小学生でも理解できる。だからこそ、支援機構が設立されたわけだ。
要するに、5月13日に当時の菅直人政権が「東電福島原発事故に係る原子力損害の賠償に関する政府支援の枠組み」を関係閣僚会合で決定した時点で、「東電を債務超過にしない」→「東電向け債権の放棄を金融機関に要請しない」というレールがすでに敷かれたと見るべきなのだ。
下河辺委員長は3日の記者会見でこうも言っている。「東電が形の上で債務超過になっていないと認識せざるを得なかった現状において(報告書に)『債権放棄を求めるべきだ』とは到底書ける話ではない」。債務超過になっていない時点を選んで、それを前提にしているのだから当たり前である。
一方、原発再稼働や料金値上げが絡んでくると、報告書には債務超過が持ち出される。第三者調査委が今後10年間の東電の事業計画シミュレーションを行い、柏崎刈羽原発が(1)全く稼働しない(2)稼働する(3)1年後に稼働する――という3つのケースを想定、それぞれについて料金値上げ率を0%、5%、10%で試算した。その中で原発が再稼働せず値上げもしないと、8兆6427億円の資金不足が生じ、1兆9853億円の債務超過に陥るとの数字を弾き出している。そして、この場合に支援機構による東電への資本注入が示唆されている。
要するに、国民(正確には原発立地周辺地域の住民や東電ユーザー)が原発再稼働や料金値上げに「ノー」を突きつけても、支援機構から東電に公的資金が入る仕組みなのだ。8月に国会で成立した原発賠償支援法では、資本注入を受けた東電は徹底したリストラを求められ、長期間にわたって「特別負担金」を払って国からの支援金を返済するとされている。だが、破綻に瀕した企業がリストラを徹底するのは当然であり、しかもそれでもキャッシュが稼げない場合、東電は料金値上げで返済原資を確保することになる。資本注入にせよ、値上げにせよ、カネの出し手はどちらも国民なのである。
国民負担で東電年金を支える
なぜ、そうまでして東電を擁護するのか。政府関係者などからは、東電を破綻処理すると「電力供給に支障が生じる」「日本の社債市場が混乱する」といった反対論が聞こえてくる。しかし、こうした主張にはまったく合理性が感じられない。
まず、東電が会社更生法などに基づく法的処理をした場合、発送電がストップするのかというと、そんなことはない。裁判所が選任する管財人の下で、業務を継続できる。昨年1月に会社更生法の適用を申請した日本航空のように、資材調達などで政府保証を駆使すれば、日常業務は粛々と進むはずだ。一部には、会社更生法は期間が限定され、被害確定まで時間がかかる今回の東電の原発事故には使いづらいとの指摘があるが、既存法の適用が難しければ、改正するか、もしくは新たに「東電処理再生法」といった新法をつくればよい。この国難に際して既存法に難点があって使えないというのは説得力に乏しい。そこで議論が停滞するならば、何のために立法機関が存在するのか。手段がないから目的が達成できないというのは怠慢以外の何物でもない。
社債市場については、すでに3月の大震災以降、電力債の起債は止まっている。確かに、「混乱している」といえるかもしれないが、それで産業界や日本経済に著しく悪影響を及ぼしているかというと、まったくそんなことはない。電力各社は12年3月期の事業運営に必要な資金の大半を銀行借り入れなどで手当済み。社債市場の混乱で資金ショートする企業が出ているわけでもない。
これとは別に、東電債が通常債権より返済を優先させる「一般担保付き債権」であり、東電を法的処理すると、「社債保有者への弁済が先になり、原発事故の被災者に賠償金を支払えなくなる」という反論もあった。なんのことはない、国が賠償責任を引き受ければ解決する話だ。実際、菅・前首相が「(原発事故の損害賠償は)最後の最後まで国が面倒を見る」(4月29日、衆院予算委での答弁)と明言している。東電を法的処理すると「大変なことになる」という一連の反対論は、企業経営の実態に疎い民主党政権に対する脅しに使われているような気がしてならない。
社債市場や株式市場ではむしろ、事実上破綻している東電を生かしていることによる弊害の方が深刻な問題になりつつある。東電に対する「政府支援の仕組み」が明らかになった5月頃から、米ウォール・ストリート・ジャーナルなど海外メディアでは「支援機構は社会主義的政策」といった批判記事が掲載されている。自立能力を失い淘汰されるべき企業が政府の支援によって市場にとどまり、政治家の言動などで信用力が乱高下するような事態こそ、海外投資家にとっては不透明この上ないことは容易に想像できる。
東電がつぶれているのかつぶれていないのか、わからない状況は解決を長引かせるだけでなく、事態を一段と悪化させる可能性も高い。例えば、第三者調査委の報告書でも言及された東電の企業年金削減問題。給付利率を2.0%から1.5%に下げ、終身年金を30%削減する対象をOBにも広げ、さらに現役社員のみ一時金を10%削減すると、10年間で最大2190億円の削減効果があるとされているのだが、厚生労働省によると、資産超過など破綻が認定されない状況では、OBの年金を減らした事例はないという(10月8日付読売新聞朝刊)。東電が支援機構から資本注入を受け資産超過が続く限り、年金に手を付けられないとなると、国民負担で東電の年金制度を支えるというおかしな構図が出来上がってしまう。
東電トップを続投させるお人好し政府
曖昧な破綻認定が生むもうひとつの問題は経営責任。6月の株主総会を機に清水正孝社長や武藤栄副社長原子力・立地本部長(肩書きは前職)が退任したが、勝俣恒久会長をはじめ原発事故発生当時の役員の多くが留任している。重大事故を引き起こして会社に兆円単位の賠償負担をもたらしたばかりでなく、10万人規模の福島の周辺住民に避難生活を強いている現状だけを考えても、なぜ彼らが更迭されないのか、不思議でならない。
2カ月が経過して公表されたメルトダウン(炉心溶融)のように、事故発生後も変わらない小出しの情報提供。最近では、福島第1原発の事故時の運転操作手順書を衆院の科学技術・イノベーション推進特別委員会が東電に提出させたところ、大部分が黒塗りされていたという噴飯ものの対応があった。
第三者調査委の報告書でも、東電が今年5月に発表した今期(2012年3月期)のコスト削減額5034億円には来期以降に繰り延べする費用が含まれていたり、まだ実施していない今期の予算と比較していたり、実際の削減額1867億円より2.7倍も水増ししていたとの指摘があった。また、5月に政府の支援が決まった際、東電は「金融機関から得られる協力の状況について政府に報告する」と約束していたにもかかわらず、6月に取引金融機関に対して「金利減免や債権放棄を要請しない」との文書をひそかに送っていたことも明らかにされた。
こうした企業体質は経営陣を一掃し、社内の力学を根本的に転換しない限り、変わらない。国の安全を揺るがすほどの大事故を引き起こし、信頼を裏切った役員たちに、性懲りもなく事故の収束や会社再生を託すほどお人好しの政府は、この国以外では他に見当たらないだろう。
法的処理を勧める理由はもうひとつある。日本は原発事故発生によって外国から損害賠償請求された場合の国際条約に加盟していない。条約があれば、賠償限度額の設定や裁判管轄権を自国に限定することで法外な賠償金支払いなどを防げる。福島第1原発からは放射性物質が拡散しており、海洋汚染や漁業被害で外国から訴訟を起こされる可能性は否定できない。万一、外国の裁判所で東電が巨額の賠償金支払いを命じられた場合、支援機構によって東電が延命していれば、その負担まで国民が負わされることになりかねない。
株式会社の最大の利点は有限責任。株主は出資額を超えて責任を問われることはない。だが、東電に公的資金が注入されれば、放射性物質の拡散や節電で多大な迷惑を被っている国民自身が無理矢理さらなる負担を強いられる。東電を延命させるコストとリスクは、時間とともに膨らんでいく一方なのだ。すべての東電幹部や社員に非があると言っているわけではない。摘出すべきは、東京電力という企業が育んできた風土、体質である。負の連鎖を一度断ち切らない限り、この国は原発事故にまつわる様々な問題から前に進めないように見える。
福島第1原発:「Sクラス機器」耐震性再評価が大幅遅れ
東京電力が国の耐震設計審査指針改定に伴って経済産業省原子力安全・保安院から求められていた、福島第1原発で重要な「Sクラス」の機器に関する耐震性再評価の作業が大幅に遅れていることが分かった。保安院が13日明らかにした。保安院は東日本大震災の揺れが同原発にどう影響したかを年内に評価する予定だが、その作業も遅れる恐れがある。
耐震指針は06年改定。同原発では想定する揺れの加速度が1・6倍に引き上げられた。
東電は、1~6号機のSクラス機器のうち原子炉圧力容器や格納容器など最重要の各7機器については「補強不要」との結論を08年3月に保安院に中間報告した。だが、それ以外の百数十機器は3年半経過した現在も報告がないという。
保安院によると、再評価に必要な計算式も未構築で「ほぼ未着手」とみている。森山善範・原子力災害対策監は13日の会見で「(06年の)再評価開始から既に5年も経過しており、大変残念」と東電の対応の遅れを批判。これに対し東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「(07年の)中越沖地震の対応で報告書をまとめるのが遅れた。今年3月11日時点では準備は進んでいたが、提出できる段階ではなかった」と釈明した。【岡田英、中西拓司】
毎日新聞 2011年10月13日 23時46分(最終更新 10月14日 0時05分)
つまりは、安全基準を高めたのにもかかわらず、東電はシカトしていたということですね。
これから、なぜ人災なのか、自然災害なのかという議論に進まないのでしょうか?
進めれば、国民から信頼が益々得られないからなのでしょうが、議論をしなければ、それはそれで信頼されない。
そんな状態でも、原発は動かせると思っているのでしょうか?
FUKUSHIMAの本質を問う【1】原発事故はなぜ起きた?
同志社大学ITEC副センター長・山口栄一教授に聞く
2011/10/05
ECO JAPAN
聞き手/文 林愛子
東京電力福島第一原子力発電所の事故は技術経営のミスに起因するもので、天災でも偶然でもなく、100%予見可能な事故だった――。同志社大学ITEC副センター長の山口栄一教授はそう指摘する。山口教授は現在「FUKUSHIMAプロジェクト」の委員長として、技術経営の観点から原発事故の本質に迫る調査活動にあたっている。プロジェクトの目的は特定の利害関係に捉われることなく第三者の立場で事故を分析し、未来に向けた提言を発することだ。
――技術経営および理論物理の専門家として、今回の原発事故をどのようにご覧になっていたのかを教えてください。
山口栄一教授(以下敬称略) 私は原発反対派でもなければ推進派でもないので、客観的に報道を見ていましたが、津波襲来とともに全電源を喪失して制御不能になったとの論調には違和感を覚えました。日本のエンジニアは所属する組織よりも、社会正義や倫理観で動く傾向が強い。「対策はこれで十分」と言われても、社会のために必要だと思えば“最後の砦”を用意するのがエンジニアです。そんな彼らが電源喪失と同時に制御不能に陥るような設計をするはずがないと思いました。その直感に従って調査を始めたところ、やはり“最後の砦”が見つかりました。
――それは何ですか?
山口 簡単に言えば、無電源でも一定時間原子炉を冷却できる仕組みがあったんです。1号機には炉の内側と外側の温度差で動く「隔離時復水器」が、2号機と3号機には隔離時復水器の進化版である「原子炉隔離時冷却系」がそれぞれ設置されていました。その結果、津波で電源を喪失した後も、1号機は約8時間、2号機は約63時間、3号機は約32時間、それぞれは冷却が続き、制御可能な状態だったと考えられます(※詳しくは日経ビジネスオンライン「見逃されている原発事故の本質」を参照)。
いずれも稼働時間はほぼ設計通りであり、現場のエンジニアはそれが“最後の砦”だと知っていました。言い換えれば、やがて冷却が止まって原子炉が制御不能の状態に陥るとわかっていたのです。1号機の場合は毎時25tの水を入れ続ければ熱暴走を防げますが、貯水タンク内の淡水では到底足りません。豊富にあるのは海水だけ。もはや、海水注入以外の選択肢はなかったのです。
廃炉の判断が遅れたために事態が悪化
――実際に1号機への海水注入が始まったのは3月12日午後7時過ぎ。制御不能の状態に陥ってから、さらに20時間が過ぎていたことになります。これほど意思決定が遅れた理由は何だったのでしょうか?
山口 海水を注入すれば、廃炉になるからです。現場判断で海水を注入できたとも言われていますが、それはどうでしょうか。もし海水を入れて廃炉になったとしたら、その人物は懲戒免職となり、何百億円、何千億円もの損害賠償請求を受けることになるでしょう。そんな大きな経営判断に対して責任を負えるのは経営陣をおいてほかにいません。
そう考えると、意思決定に必要なすべての情報は勝俣恒久会長や清水正孝社長(当時)をはじめとする経営陣のもとに届いていた、と見るのが自然です。ということは、海水注入までの20時間、経営陣は廃炉の判断を躊躇していたことになります。ほかに選択肢はなく、判断が遅れれば制御不能になることは100%予見可能でした。しかも、1号機のみならず、2号機と3号機でも海水注入までにはかなりの時間を要しています。これは明らかに刑法上の不作為にあたり、東京電力の経営責任は極めて重いと考えます。
――当時から海水注入のタイミングが遅いとの指摘はありましたね。
山口 一部ではベントにてこずったせいだとも言われていますが、原子炉には消火設備用のラインがあるので、少なくとも水を入れることはできたと思われます。現場のエンジニアはおそらく、淡水の後は即座に海水注入だと考えたでしょう。人間には放射性物質の半減期を制御することができないのですから。
原子炉は最後の砦が動いているうちは解決手段は“こちら側”にあったのに、海水注入の決断が遅れたために、人類の手に負えない“向こう側”に行ってしまったのだと思います。事故原因としては非常用ディーゼル発電機の設置環境や津波対策の不備なども指摘できますが、いずれも決定打ではありません。本質は、制御可能なものが制御不能になることの意味を理解できなかった経営陣による技術経営のミス。そう思い至ったとき、2005年に起きたJR福知山線事故と同じだと思いました。
100%予見可能な事故がなぜ起きた?
――福知山線事故も技術経営のミスだったのでしょうか。
山口 福知山線事故は当初、速度超過による脱線事故だと報じられました。しかし、脱線であれば内側に倒れるはずの事故車両がカーブの外側に倒れていたので、これは遠心力で転がる転覆事故ではないかと思いました。脱線は不確定要素が多くて予測できませんが、転覆は予測ができます。さっそく理論計算してみると、あのカーブは時速106kmで必ず転覆することがわかりました。事故は100%予見可能だったのです。にもかかわらず、JR西日本は何ら対策をとっていなかったばかりか、時速106kmという転覆限界速度の計算すらしていませんでした。明らかな技術経営のミスです。
事故から2年後、私は被害者女性との共著『JR福知山線事故の本質』を出版し、事故調査委員会の委員に送りました。彼らが出す最終報告書は警察が唯一の鑑定書とするくらい重みがあるので、そこで経営陣の責任に触れてくれたら、被害者への賠償が手厚くなるだろうと期待したのです。しかし、事故調査委員会は経営責任には触れず、死亡した運転士のせいだと結論付けました。これでは交通事故程度の賠償内容になってしまいます。このままでは正義が廃ると思いました。
そこで私はただちに福知山線事故に関するシンポジウムを開催し、書籍に書いたとおり、経営陣に責任があると訴えました。そのとき最前列で講演を聞いていたのが兵庫県警の刑事さん。捜査のために会場まで足を運んでくださったのです。それを境に経営陣への捜査が進み、ついには当時の経営陣8人が起訴されるに至りました。彼女との共同で書いた書籍が警察を動かし、司法をも動かしたのですから、感慨深いものがあります。
――先生が委員長を務める「FUKUSHIMAプロジェクト」でも、書籍を刊行するそうですね。
山口 「FUKUSHIMAプロジェクト」は第三者の立場から事故の本質を明らかにし、未来への提言と共に国民の前に提示することを目的に、3月に発足しました。代表発起人である松下電器産業(現・パナソニック)元副社長の水野博之さんをはじめ、法曹界や電力業界、原子炉工学やエネルギー問題、技術倫理、風評被害など、さまざまな分野に通じたメンバーがプロジェクトに加わっています。11月には調査結果を書籍として刊行するほか、ダイジェスト版を無料配信する予定です。
事故調査レポートは東電福島原発の事故調査・検証委員会や東京電力も発行するでしょうし、専門家や有識者による書籍も多数出ると思います。しかし、原発は国の制度設計に則って電力会社が運用し、国の一部機関がサポートする仕組みですから、国も東京電力も当事者です。事故調査委員会もある種の官製組織です。事故を客観的に分析し、国民に誠意をもって事実を伝えられるのは我々のような組織だけなのです。
FUKUSHIMAプロジェクトは賛同者からの寄付を原資に活動します。余剰金が発生した場合は被害者救済のための義援金とし、我々メンバーは無報酬で印税も受け取りません。それゆえに、特定の団体や組織の影響を受けることも、書籍の市場性を意識することもなく、純粋に事故の本質を探究できるのです。
超一流の巧妙なプレスリリース
――寄付を募るという珍しいスキームを使ってでも、第三者の立場にこだわる理由をもう少し詳しく教えてください。
山口 先ほどお話しした、“最後の砦”や廃炉の判断の遅れ、技術経営のミスといったことを最初に発表したのは、5月13日発刊の雑誌とウェブ媒体でした。おかげさまで予想以上に多くの方の目に止まったようで、さまざまな感想や質問を送っていただきましたから、これで一つの役割を果たしたと思っていたのです。
ところが、その2日後の5月15日、東京電力は記者会見を開き、原子炉の水位や格納容器の圧力などのデータを突如として発表します。翌朝の新聞記事には「津波の直後からメルトダウンは始まっていた」「東京電力が燃料溶融の事実をついに認める」というような内容の見出しが躍りました。各社の記事を総合すると、前日の会見は「地震の後に1号機の水位が低下」「地震で水漏れにつながる傷が出来た可能性がある」「翌朝には水位低下で燃料棒が一部露出」「淡水を入れても水位は上がらず、露出した燃料が溶融」という内容だったようです。
報道各社はメルトダウンのことばかり取り上げましたが、この会見で東京電力が言わんとしていたのは「事故原因は地震で原子炉が破損したこと」です。事故は技術的な問題だったと主張することで、「技術経営のミス」という私の指摘を葬ろうとしたのだと思います。
その後、件のプレスリリースを見て、私は改めて驚きました。水位や圧力のデータはすでに発表されていたものと大差ないのですが、グラフには小さな文字で留意事項が書かれていました。内容を要約すると「計測器は地震や津波などの影響で正しく動作していない可能性があるから、このデータは実測値ではなく、複数の情報をもとに計算したもの」。ほかにも「仮定」「推定」「暫定解析」といった条件が随所に書かれていました。よって、公表されたデータは嘘ではない。しかし、事実でもない。それなのにプレスリリースを見た記者は「あれほどの災害だから、シミュレーションデータしか求められないのは仕方ない」と理解して記事を書いたのだと思います。
私は東京電力の超一級の情報戦略を目の当たりにして、背筋が凍る思いでした。このとき改めて、我々が正しい情報を発信しなければならないと、強い使命感を感じました。
傷ついた福島が立ち上がる日
――なぜ東京電力はそこまでの戦略を採ったと思われますか?
山口 東京電力は事故後も一貫して原子炉と原子炉行政を守ろうとしていたはずです。ところが、事故が技術経営のミスによる不作為で引き起こされたことが証明されれば、当時の社長をはじめ経営陣が刑事罰に問われます。また、3月11日16時36分の原子力緊急事態宣言とともに原子力災害対策本部が置かれましたから、本部長である菅直人首相(当時)にも大きな責任があったはずです。場合によっては東京電力経営陣と共に刑事責任を問われることになりかねません。それだけは何としても避けたいので、技術のせいにしたのでしょう。
繰り返しますが、本質は技術経営のミスです。私は、重大なミスを犯した東京電力の経営陣と彼らをサポートする国家の一部の人たちによって、福島に原発事故が落とされたと思っています。広島と長崎が原爆で粉みじんにされたように、原発事故は福島の街と人々の暮らしを粉みじんにしました。それなのに、まるで大した罪がないかのように東京電力を温存しようという風潮になっているのはおかしい。このままでは日本が世界から後ろ指をさされ、“ヘタレ”な国家になり果てることでしょう。
だからこそ、まずは事故の本質に迫り、真実を明らかにすることが最優先課題です。それを国民に見せて、一人ひとりが福島の問題を我がこととして受け止めること。そのプロセスがなければ福島は立ち直ることができませんし、それこそが日本が“ヘタレ”から抜け出る唯一の方法でもあるのです。
――FUKUSHIMAプロジェクトの書籍にはこのほかにどういった内容が盛り込まれるのでしょうか。
山口 書籍は4章構成の予定です。第1章は震災当日から約2カ月の間に何が起こったかを明らかにします。第2章では事故以前の原発の位置づけなどを振り返り、第3章では事故のその後として事故収束のシナリオや補償問題に触れます。そして、第4章はメンバーそれぞれの専門性を生かした提言です。再生可能エネルギーの可能性や発送電分離、スマートグリッドなどについても論じます。
今回の原発事故では「国や東京電力が発信する情報を信じられない」という声が多数挙がりました。知りたい情報が直ちに発信されず、情報の透明性も保たれていないと、国民は今なお感じています。これは、国民が「正しくモノを見よう」としていることの現われではないでしょうか。不透明な部分も、未だ表に出てきていないことも包み隠さず教えて欲しい、我々はすべてを知りたいのだ――そんな国民の声に、誰かが応えなければなりません。3月末に“最後の砦”に気付いたとき、私はそう思いましたし、5月に超一級の情報戦略を見せつけられたときに改めてその思いを強くしました。
FUKUSHIMAプロジェクトの書籍は広く一般の方々に読んでいただける内容を目指しています。「科学」の視点が入ると、それまで見えていなかった部分が明らかになります。福知山線事故の検証はまさに科学の力でした。FUKUSHIMAプロジェクトの書籍にもぜひご期待ください。
ラジウム入り瓶に「日本夜光」 昭和40年代は簡単に入手可能 世田谷の放射線
2011.10.14 23:59
なぜ民家の床下にラジウム入りの瓶が置かれていたのか。一部の瓶には「日本夜光」と書かれたラベルが張られており、夜光塗料用だった可能性が浮上している。
放射性物質に詳しい中部大の武田邦彦教授(資源材料工学)によると、日本夜光という会社は今は存在しないが、かつては夜光塗料製造の大手企業。ラジウムは時計の文字盤のほか、昭和40年代に「非常口」の表示看板などの夜光塗料として使われていたという。
武田教授は「昭和50年ごろまでラジウムなどの放射性物質は薬品会社から他の薬品と同じように簡単に入手できた。夜光塗料をつくることもでき、看板などを書くために入手して置きっぱなしになった可能性もある」と指摘する。
ただ、民家所有者の女性は「見覚えがない」と証言。約10年前に亡くなった夫は証券会社に勤務しており、ラジウムとは無関係の生活を送っていた。
ラジウムは戦前から戦後にかけて、がん治療にも広く使われていた。女性は約20年前に体調を崩し、夫も晩年は車いす生活を送っていたが、近隣住民は「ラジウムを治療で使うような病気ではなかったようだ」と証言している。
首都大学東京の福士政広教授(放射線安全管理学)は「瓶の形状などから、昭和30~40年代に置かれていたのではないか」と推測。実際、文科省の調査では民家は昭和27~28年に建築された建売住宅といい、かなり前から床下に置かれていたとみられる。
ラジウム入り瓶を撤去 所持制限違反での告発見送り 世田谷の放射線
2011.10.14 23:54
東京都世田谷区の区道で局地的に高い放射線量が検出された問題で、文部科学省は14日、高線量の原因になった放射性物質「ラジウム226」が入った瓶を民家から撤去した。
瓶表面から毎時600マイクロシーベルトが検出されたため、文科省は13日夜、鉛製の容器で遮蔽措置を取り保管。14日午後、文科省職員や廃棄業者の作業員らが民家を訪れ、瓶を入れたドラム缶などを運び出した。瓶は廃棄業者が持ち帰り、貯蔵施設で保管する。
文科省で瓶を運び出した後に敷地内で放射線量を測定したところ、毎時0・05~0・09マイクロシーベルトで、ほぼ平常値に戻ったという。
文科省放射線規制室によると、ラジウムの使用・保管は、濃度と重量が一定量を超える場合、放射線障害防止法の規定で文科省への届け出と許可が必要になる。違反すれば1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。
ラジウムは医療や研究で用いられるため、全国約6500の病院や大学などの研究機関が届け出。ただ、同法は昭和32年施行で、これ以前に研究者らが持ち出している例もある。文科省は「実数をすべて把握するのは不可能」としており、今回のケースでは所持制限違反での告発は見送る方針。
素人なんで、間違いや勘違いもあるのでしょうが、α線がメインですよね。
紙一枚でも遮蔽できるというα線や、核変してβ線を出していたとしても、瓶から毎時600μSv出ているとして、本当に道路にまで届いて3.35μSvまで出ているということは、床下の線源から13m強離れていないと測定できないでしょう。
しかも、放射線は特定の方向のみに放出されるわけではなく、四方八方に出ているはず。
隣の家などは、もっと高い線量が出ても不思議ではありません。
ラジウムは低線量であれば健康に良いとも言われていますが、強ければ発がん性があります。
そこに2月まで齢90のおばあさんが元気に住んでいた訳です。
ちなみに、この地点での高線量は1ヶ月前から住民が区役所に区に報告していたそうです。
こういう大騒ぎが起こったときには裏がある。
横浜のストロンチウムやTPPなども同時期にありましたが、東京電力はこっそりトリチウムの放出を発表しています。
福島第一原子力発電所タービン建屋付近のサブドレンからの放射性物質の検出について(10月14日採取分)
平成23年10月15日
東京電力株式会社
平成23年3月28日、原子力安全委員会より福島第一原子力発電所タービン建屋地
下1階の滞留水に関し、地下および海中への漏えいおよび安全確認のためサブドレ
ンのサンプリングの実施や海水のサンプリングの強化について助言をいただいてお
り、当社として、取り組みを進めているところです。
サブドレンのサンプリングについては、4月14日の原子力安全・保安院からの指
示に基づき、今後、1週間に3回実施することとし、結果については、翌日とりま
とめてお知らせすることとしております。
(お知らせ済み)
福島第一原子力発電所のタービン建屋付近のサブドレン(施設内で集水・管理さ
れた地下水)について、10月14日にサンプリングを行い、放射性物質の核種分析を
行った結果、別紙の通り、放射性物質が検出されました。
また、平成23 年9月12 日に採取したサブドレン水に含まれるトリチウム、全ア
ルファ、全ベータの分析を行った結果、別紙の通り、トリチウムおよび全ベータが
検出されました。
以上の結果について、本日、原子力安全・保安院ならびに福島県へ連絡いたしま
した。
以 上
・添付資料:サブドレン等核種分析結果(PDF 10.7KB)
・別紙:サブドレン核種分析結果(PDF 10.3KB)
・参考資料:福島第一 放射能濃度(PDF 22.9KB)
トリチウムに関しては、プルトニウムよりも危険な放射性物質とも言われています。
まあ、出ていないわけがないんですけどね…。
水と同じような挙動をするので、海に流れ、蒸発し、雲を作って雨となり、水源を汚染して飲料水を汚染させます。
体内に入れば、水と同じような動きをとるので、細胞に取り組まれ、遺伝子を破壊するそうです。
こうなってくると、何が危険じゃなくって、何が危険なんてものもないのですが…。
ともかく、ありとあらゆる核種が飛び出ていて、それぞれの核種がさまざまな挙動をして、身体のさまざまな部分に影響を及ぼすのでしょう。
これは私の勝手な陰謀論ですが、9月12日に検出しているのですから、約1ヶ月前。
世田谷は空き家なのですから、その気になれば、トリチウム流出を覆い隠すための仕掛けは十分に出来ますよね。
床下の瓶から高放射線 民家所有者「初めて見た」
2011/10/13 20:59 (2011/10/13 23:06更新)
東京都世田谷区弦巻の区道から最大で毎時3.35マイクロシーベルトと周辺より高い放射線が検出されたことが13日、区への取材で分かった。区は同日夜、隣接する民家の床下にあるビンが発生源とみられると発表。周辺で高い線量が検出されていないこともあり、福島第1原子力発電所事故による放射性物質の飛来が原因ではないとみている。
ビンの線量は毎時30マイクロシーベルトまで計測できるメーターが振り切れる高さという。文部科学省の検査官が分析などを実施。終わり次第、区は関係機関と協議して速やかに除去作業を行う方針だ。同日夜、同省の担当者がビン類を鉛の容器に入れて搬出。その結果、付近の線量は毎時0.1~0.3マイクロシーベルトまで下がったという。
3日に区民から「放射線量が高い場所がある」との指摘を受け、区は専門業者に依頼して区道付近の調査を実施。さらに隣接する無人の民家の所有者の許可を得て敷地内を調べたところ、床下にある木箱の中にあった数本のビンから計測限度を超す線量を検出した。
ビンは高さ7センチ、直径6センチのものが1本と、棒状の細いものが数本あった。いずれも泥で黒く汚れており、ラベルや中身は判別できず、所有者も「初めて見た」と話しているという。
〔産経新聞〕
原因は放射性ラジウム=原発事故と無関係-世田谷の高放射線量・文科省
東京都世田谷区の区道で高い放射線量が検出された問題で、文部科学省は14日未明、隣接する民家の床下にあった瓶の中から、ラジウム226とみられる放射性物質が見つかったと発表した。最大で毎時3.35マイクロシーベルトが検出された原因はこの放射性ラジウムで、東京電力福島第1原発事故とは無関係と判断した。
文科省によると、13日午後3時半ごろ、世田谷区から「床下にある複数のガラス瓶が放射線源とみられる」との通報を受けた。同省は放射線障害防止法に基づき、担当者2人を派遣。民家の寝室の床下から、箱に入ったガラス瓶数十本を見つけた。中には粉末が入っていた。
粉末を検査した結果、ラジウム226やビスマス214、鉛214などの放射性物質が検出されたため、鉛容器などに入れ放射線量を低減する措置を取った。14日にも専門業者に処分を依頼するという。
この民家は1950年代に建てられ、女性が今年2月まで住んでいたが、現在は無人。女性の親族はガラス瓶などに心当たりがないと話しているといい、女性の夫(故人)も、放射性物質を扱う職業とは無関係だったという。(2011/10/14-01:22)
〔時事〕
世田谷の“ラジウム瓶”撤去へ…文科省が作業開始
2011.10.14
東京都世田谷区弦巻の区道で局地的に高い放射線量が検出された問題で、文部科学省は14日、区道沿いの住宅の床下から、高線量の原因となった瓶を撤去する作業を始めた。
瓶は数十本あり、木箱に入っていた。瓶の中身はラジウムとみられる粉状の物質で、瓶表面から毎時600マイクロシーベルトが検出された。文科省は13日、周囲に高い放射線が出ないよう、木箱を鉛製の箱に入れていた。
世田谷区が依頼した専門業者による区道の測定では13日、高さ1メートル地点の最大値で毎時3・35マイクロシーベルトを検出した。
14日は警視庁も現場の状況を確認するため、捜査員を派遣した。
あれよあれよという間にラジウム入りのビンが犯人になってしまいました。
発生源?の瓶は4、5本 警視庁も現場に
2011.10.13 21:38
東京都世田谷区弦巻の区道から周辺よりも高い放射線量が検出された問題で、区は13日夜、記者会見を開き、最寄りの民家の床下に置かれた瓶から放射線が発せられていた可能性が高いと発表した。文部科学省は同日深夜、瓶の中身は放射性ラジウムと推定されると明らかにし、放射性セシウムが検出されていないことから福島第1原発事故とは関係ないと断定した。
世田谷区はこの日、専門業者による測定を実施し、区道の高さ1メートルの地点で毎時3・35マイクロシーベルトの放射線量を検出。非常に高い線量だったことから業者は近くの民家から放射線が発せられている疑いが強いと判断。区は所有者の了解を得て敷地や室内の調査を実施した。
区道から約1・5メートル離れた民家の壁からは最大毎時18・6マイクロシーベルトの放射線量が検出されたほか、床下に大小合わせて少なくとも4、5本の瓶を発見した。
瓶は、木箱と紙箱で2重に梱包(こんぽう)されていた。大きい瓶は高さ7、8センチで太さは5、6センチ。業者が線量計を当てたところ、針が測定限界値を振り切った。限界値は毎時30マイクロシーベルトの放射線量だった。区によれば、民家の所有者は「(箱や瓶に)見覚えはない」としている。
業者は安全確保が困難と判断し、測定を中止。区は瓶から放射線が発せられていた疑いが強いとして文部科学省に通報した。警視庁も現場に警察官を派遣した。文科省は瓶を放射線を封じる容器に入れて、現場から搬送。容器は遮蔽措置が取られているといい、瓶の中の物質などについて専門家による詳しい調査を実施する方針。
放射性物質の保管をめぐっては、平成21年10月、長野県飯綱町の山林にある倉庫にトリウムを含む合成樹脂が保管され、住民らから撤去を求められる騒ぎがあった。一方、戦前から戦後にかけてはラジウムががん治療に広く使われていたといい、処分費用が高額だったため不法に廃棄されるケースもあったとされる。
とりあえず、民間業者が入って調べたところ、限界値の30μSvを振り切ったために、文科省や警察が来るという騒ぎになったようですね。
高放射線量 住宅床下の瓶が原因
10月13日19時24分
東京・世田谷区の区道の一部から高い放射線量が検出されたことを受けて、世田谷区が専門の業者に委託して隣接する住宅を調べた結果、床下の箱の中にあった瓶から極めて高い放射線量が検出されたということです。世田谷区は、周辺の高い放射線量は原発事故の影響ではなく、この瓶の中の物質が原因とみて調べています。
世田谷区弦巻の区道の一部からは、今月6日の区の測定で、1時間当たり最大で2.707マイクロシーベルトという高い放射線量が検出され、13日に改めて測定したところ、区道に隣接する住宅の塀に近い、地表から高さ1メートルの場所で、1時間当たり3.35マイクロシーベルトという値が検出されていました。現場に隣接する住宅は、ふだんは人が住んでいないということで、区では13日午後から住宅の持ち主らの協力を得て、家の中や敷地内で放射線量を測定するなど原因の特定を進めていました。その結果、家の床下から木の箱が置かれているのが見つかり、箱を開けたところ、さらに紙の箱があり、中に入っていた瓶から極めて高い放射線量が検出されたということです。放射線量は、測定器が検出できる1時間当たり30マイクロシーベルトを超え測定できないほどの高さだということです。問題の瓶は、高さ7、8センチ、太さが5、6センチで3、4本あり、いずれも古い瓶で汚れて黒っぽくなっているということです。区は、この住宅周辺の高い放射線量は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響ではなく、瓶の中の物質が原因とみて、文部科学省の原子力安全課放射線規制室に調査を依頼し、さらに詳しく調べています。世田谷区は今後、文部科学省などと相談しながら放射性物質の除去を急ぎたいとしています。
文部科学省によりますと、一定量以上の放射性物質を使用したり販売したりする場合は、法律で国の許可や国への届け出が必要です。放射性物質は、原子力発電所以外でも、研究や医療用、工場や農業などの分野で広く利用されています。少ない量であれば特に規制はされていませんが、一定量以上を扱う場合などは、使用したり販売したりする際に、法律で国の許可や国への届け出が必要だということです。許可や届け出が必要な量は、放射性物質の種類によって異なります。しかし、会社が倒産したり、長期間使用しなかったりするうちに管理が不十分になり、思わぬ場所から放射性物質が見つかることがあります。過去には、温泉用に輸入した大量の放射性物質を住宅に保管していたのが見つかったり、人が立ち入らないような倉庫の中から20年から30年前に使っていた放射性物質が発見されたりしています。
東京・世田谷で高い放射線量、雨で運ばれ蓄積か
東京都世田谷区は12日、同区弦巻地区の住宅街の歩道で毎時2・71マイクロ・シーベルトの放射線量を検出したと発表した。
計画的避難区域に指定されている福島県飯舘村で12日に計測された2・05マイクロ・シーベルトより高く、区では、東京電力福島第一原発事故で放出された放射性物質が雨水で運ばれ蓄積された可能性があるとしている。
同区によると、今月6日に民家の木製の柵に隣接する歩道上の9か所で毎時0・09~2・71マイクロ・シーベルトを計測した。水で洗浄したが数値は下がらなかったという。
区内の定点観測地点での放射線量は毎時0・05~0・08マイクロ・シーベルト。区は「なるべく近寄らないでほしい」と呼びかけている。
(2011年10月12日21時33分 読売新聞)
放射線量:再測定で3マイクロシーベルト超に 世田谷区道
東京都世田谷区弦巻の区道から最大で毎時約2.7マイクロシーベルトと周辺より高い放射線量が検出された問題を受け、区は13日、専門業者による測定を実施、高さ1メートル地点で毎時3.35マイクロシーベルトが検出された。
区は、問題の区道に接する民家の板塀を覆っている樹木の葉を採取。放射性物質の付着を調べ、核種を分析する。今後、除染などの対策を急ぐ。
今回の線量は「毎日8時間を屋外、残りを木造家屋内で過ごした」との仮定で年間被ばく線量に換算すると約17ミリシーベルトとなるが、国が避難を促す目安としている20ミリシーベルトよりは低い。
現場は住宅街にある区道の歩道部分で、近くの区立松丘小学校の通学路。区は念のため、現場をコーンで囲う措置を取っている。
区は4日と6日に約2.5メートル間隔で9地点を調べた。区職員が1カ所につき地上から高さ5センチ、50センチ、1メートルの部分で5回ずつ測り、平均値を算出。最大値は板塀付近の高さ1メートル部分で毎時2.707マイクロシーベルト、最低値は別の部分の0.088マイクロシーベルトだった。
13日は板塀沿いに2メートル間隔で6地点を測定。高さ1メートルの部分で毎時0.15~3.25マイクロシーベルトを検出した。最も高かった場所を再度調べると、地表付近で1.34マイクロシーベルト、高さ1メートルで3.35マイクロシーベルトだった。
毎日新聞 2011年10月13日 11時26分(最終更新 10月13日 12時44分)
さて、ナゾの多い「世田谷のビン」の記事ですが、結構盛りだくさんで困っています。
とりあえず、まずは一報をまとめてみました。
いくつかに分けてみましょう。
当初は4マイクロシーベルト代まであったのが、除染をして下がったという記事もあったと思うのですが、消えてしまいました。(汗)
初期の記事は緊迫感がありますね。
一つ突っ込みを入れましょう。
>国が避難を促す目安としている20ミリシーベルトよりは低い
これは福島の話。
日本全国に適用される話ではありません。
東京は年間1mSvです。
震災後の県外転校 1万4000人
10月13日17時45分
東日本大震災のあと、岩手・宮城・福島の3県から県外の学校に転校した子どもは、ことし9月1日現在で、およそ1万4000人に上り、このうち85%は福島の子どもであることが文部科学省の調査で分かりました。
文部科学省は、東日本大震災のあと、別の学校に転校した小中学生や高校生などの人数をことし9月1日現在で調査しました。それによりますと、全国で県外の学校などに転校した子どもは合わせて1万5564人で、このうち89%に当たる1万3933人は、岩手・宮城・福島の3県から県外に転校した子どもでした。転校した子どもは、福島が最も多い1万1918人で、3県で転校した子どもの85%を占め、前回、5月の調査より1900人余り増加しました。福島から県外に転校した子どもは、小学生が最も多い55%で半数を超え、次いで幼稚園児が17%、中学生が16%、高校生が10%などとなっています。福島に次いで県外への転校が多いのは宮城県で1702人、岩手県は313人でした。3県の子どもの転校先は、山形県が最も多い1362人、東京都が1295人、埼玉県が1278人でした。一方、県外ではなく同じ県内の学校に転校した子どもは、福島が6450人、宮城が2896人、岩手が813人でした。転校の理由について、文部科学省は「原発の事故による放射線に対する不安や仮設住宅への移動に伴う転居で、夏休みを経ても特に福島で小さい子どもを中心に転校が続いている」と話しています。
被災地の子どもたちは、避難や親の仕事の関係などでことしになって転校を2回以上するケースもあるため、中には慣れない環境で精神的なストレスを受けたり、学習が遅れたりする子どももいます。このため学校では、精神面と学習面でこうした子どもたちを支援していくことが課題になっています。さらに被災地の学校では、転校で急激に子どもが減ったり、逆に増えたりしたため、授業の進行や運動会などの学校行事に影響が出るなど、教師側の負担も重くなってしまう現状があります。
復興中の福島には大変申し訳ないですが、子供が福島を離れるのはよい傾向だと思います。
学者さんの中には、「空間線量が下がってきているので問題ない」という意見が増えてきていますが、私は安心できないと思います。
例え外部被曝が減ったとしても、暫定規制値がユルユルで内部被爆を避けることが出来る食品が少ないと思うからです。
それに、子供が線量計をぶら下げての生活なんて異常でしょう。
線量計なんて、原発関係者が作業をするのに着けるものです。
しかも、自分では数値を見ることが出来ない。
気がついたときには、爆発的に被曝していたなんてこともあるわけですが、その場合にどうするかということも一切無い。
政府は疎開をさせる気などサラサラ無いようですから、まずは福島を捨てましょうよ。
子供のために。
基準の最大47倍の放射線 九電、ガラス固化体
九州電力が日本原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(青森県六ケ所村)に搬入した高レベル放射性廃棄物のガラス固化体28本のうち3本の表面から、施設の受け入れ基準の最大47倍の放射線量が測定されていたことが13日、分かった。
九電によると、外部への放射能漏れはない。再処理先の英国を出発した際の検査では基準を下回っており、日本原燃が原因を調べている。
海外で再処理され、センターに持ち込まれたガラス固化体から基準を上回る放射線量が確認されたのは初。
ガラス固化体は使用済み核燃料を英国で再処理した際に発生したもので、九電分の28本は9月15日に搬入された。
2011/10/13 14:23 【共同通信】
数日待ってみましたが、追加記事がありません。
原子力発電系の事故の場合、テンプレのように
>外部への放射能漏れはない
と書かれますが、まったく信憑性があるとは思えません。
表面から測定されているのに、イギリスから送られたときには基準を下回っているということは、ガラス固化体本体から発生している以外に無いでしょう。
もうちょっと、再処理してガラス固化したものは安定していると思っていたのですが、危険なものはやっぱり危険なんですね。
鉢呂前経産相の「放射能つけちゃうぞ」発言は虚報だった!
仮に、テレビや新聞の報じていたニュースがまったくの虚報だったらどうすべきか。おそらく、一般の人々はそのデマを元に報じられたニュースの善悪性を判断し、人物評価を下してしまうだろう。そして、それによって当事者の人生は、大きく変わってしまうことが多い。
海外のジャーナリズムでは忌み嫌われる横並びの報道を「是」とする日本の記者クラブ制度のもとでは、実はこうした被害がたびたび発生している。ジャーナリストの浅野健一氏や山口正紀氏などが長年追ってきた「報道被害」の実例は、枚挙に暇が無い。
しかし、今回、明らかになった事例は、虚報の度合いといい、被害の大きさという点では過去にもそう例のないものだ。
鉢呂前経産相
「放射能と言った記憶がない」
火曜日、筆者が司会を務める『ニュースの深層』(朝日ニュースター)に鉢呂吉雄前経済産業大臣が生出演した。冒頭、筆者は鉢呂氏が発したという「放射能つけちゃうぞ」発言の真意について聞いた。
「放射能と言った記憶がないのです。確かに相槌を打ったような気もしますが、それもはっきりせず、自分で言ったような記憶はない。私も長年政治家をやってきていますから、自分で言った言葉については大抵覚えております。でも、放射能という言葉自体、あまり使ったことがありませんし、放射性物質などということはありましたが、なにしろ記憶にないのです。でも、優秀な記者さんたちがみんなそう報じるので、どうしてなのかなと思っておりました」
結論からいえば、鉢呂氏は「放射能」も「つけちゃうぞ」も発言していない。発言のあったとされる当日、東京電力福島第一原発所の視察から戻った鉢呂大臣(当時)が、赤坂宿舎に集まった4、5人の記者たちと懇談したのは事実だ。だが、防護服を着用したままの鉢呂氏に「放射能」という言葉を使って、水を向けたのは記者たちのほうであり、それに対して、鉢呂氏は何気なく相槌を打っただけというのが真相なのだ。
つまり、マスコミが勝手に自ら言葉を発して、何も語っていない政治家の話した言葉として勝手に報じて、勝手に責任を追及し、デマによって世論を煽り、ついには大臣を辞めさせてしまったというだけの話なのだ。
なんとばかげたことだろう。とても民主主義国家のメディアの仕業とは思えない。根拠のないデマによる集団リンチであり、ジャーナリズムの自殺行為だ。
しかも、そうした事実が明らかになった現在もなお、どの社も鉢呂氏に対して、訂正も謝罪もしていないという。ぶら下がった記者の中には密かにICレコーダーで録音し、完全にすべてを理解しているにもかかわらずである。
卑怯、ここに極まれり、といった感である。
ジャーナリズム以前、
人間としての良心すらないのか
もはや日本の記者たちはジャーナリストとしてではなく、人間としての良心も失ってしまったのだろうか。
朝日新聞デジタル版が、言い訳がましく検証しているので、まずはそれを引用してみよう。
〈9日午前、新聞やテレビ・通信社は鉢呂氏の「放射能」発言を報じなかった。
だが、その日午前の記者会見で、鉢呂氏は原発周辺自治体を「死のまち」と表現。野田佳彦首相は9日昼すぎ、「不穏当な発言だ。謝罪して訂正してほしい」と語り、鉢呂氏は同日夕に発言を撤回し、謝罪した。
「放射能」発言を最初に報じたのはフジテレビとみられる。9日午後6時50分過ぎ、鉢呂氏の失言関連ニュースの最後に「防災服の袖を取材記者の服になすりつけて、『放射能を分けてやるよ』などと話している姿が目撃されている」と伝聞調で伝えた。
午後8時半には自社のウェブサイトにも掲載。この後、他のメディアも報じ始め、共同通信は午後9時過ぎ、「放射能」発言を加盟社向けに速報し、約30分後に記事を配信。TBSは午後11時半からのニュースで報じ、NHKも午後11時59分に「経産相『放射性物質うつった』発言」というニュースをネット配信。朝日新聞など新聞各社も10日付の朝刊で発言を大きく扱った。
一方、発言内容や自社の記者が現場にいたのかどうかの表現は、社によってばらついた。毎日新聞は「毎日新聞記者に近寄り、防災服をすりつけるしぐさをしながら『放射能をつけたぞ』という趣旨の発言をした」と報道。9日に報じなかった理由は「経緯についてはお話ししかねる」(社長室広報担当)という。
同様に自社の記者が現場にいたことを明らかにしている共同通信は「鉢呂氏が突然、記者の一人にすり寄り、『放射能をうつしてやる』という趣旨の発言をした」と報道。同時に、経済部長名で「『死の町』発言で、原発事故対策を担う閣僚としての資質に疑義が生じたことで、前夜の囲み取材での言動についても報道するべきだと判断した」というコメントも配信した。
他のメディアでは、産経新聞、東京新聞、テレビ東京、時事通信が「囲み取材には参加していなかった」としており、東京新聞は紙面で共同通信の配信であることを明らかにした。日本テレビ、TBS、テレビ朝日などは取材に対し、取材の過程については答えられない旨を回答。フジテレビは「取材の結果、報道する必要があると判断した」とし、記者が現場にいたかは明らかにしていない。
朝日新聞の渡辺勉・政治エディターは「8日夜の議員宿舎での発言の後、鉢呂氏は9日午前の記者会見で『死のまち』とも発言。閣僚の資質に関わる重大な問題と判断して10日付朝刊(最終版)で掲載した」と話す。辞任会見で鉢呂氏が、議員宿舎での取材を「非公式の懇談」と語ったことについては「議員宿舎の玄関付近での取材は自由であり、扱いについて特段のルールはない」としている。〉
http://digital.asahi.com/articles/TKY201109120533.html?id1=2&id2=cabbajbdこんな程度の取材でニュースを作れるとは日本の記者たちはずいぶんとお気楽な職業に就いているものである。
虚報による政治家の社会的抹殺
マスコミの罪はテロ行為にも等しい
そもそも「死の街」発言についても、福島県民からの苦情が殺到しているように報じられていたが、鉢呂事務所にはそうした声は届いていなかったという(鉢呂氏)。むしろ、「がんばれ」という激励の声が多数寄せられていたそうだ。
それもそうだろう。鉢呂氏は、大臣就任前から一国会議員として福島県に通い、放射線量の測定や、小学校や保育園の除染の徹底、そして暫定基準値の20ミリシーベルトから1ミリシーベルトへの引き下げを訴え、菅首相(当時)に直訴していた数少ない政治家の一人だったからだ。
大臣辞任直前には、「鉢呂氏を辞めさせないで」という署名運動が福島県内で始まっており、まさに「死の街」という事実をきちんと告知してくれたことへの感謝の言葉すらあったのだ。
それが、なぜか、マスコミのフィルターにかかると、福島県内で非難の声が多数あがったということになる。だが、そのほとんどが匿名だ。一方、鉢呂氏の発言はその通りだとするのはたとえば、南相馬市のエム牧場の吉村農場長や、同じく南相馬の桜井市長など実名での発言となっている。
マスコミのデマによって職を追われた鉢呂氏は、ずっと「放射能つけちゃうぞ」などという言葉は発していないといい続けてきた。だが、その反論をまともに取り上げるメディアはなく、事実上黙殺された。
発言していないデマによって、ひとりの政治家を葬るのはまさしくテロ行為に等しい。メディアは恥を知るべきだ。いまからでも遅くない、もう一度、自らの稚拙な取材を検証しなおしてみるべきだ。
そして、当事者の鉢呂氏も「もう、大臣を辞めてしまったからいい」と自らのことばかりを考えるのではなく、今後の民主主義と若い政治家たちのために、きちんとした対応をすべきなのである。
放送に関してはBPOに訴えるのもよし、あるいは名誉毀損で裁判を起こすのもよし、いずれにせよ、こうした卑怯な振る舞いに対しては断固とした措置を講じるべきなのである。仮に、こんな卑劣なデマ報道が許されるとしたら、それはジャーナリズムのみならず、民主主義の死を意味する。
嘘によって、選良である代議士を葬ることは、代議制民主主義、ひいては国民への裏切りに他ならない。
朝日新聞の連載がここのブログにまとまっています。
あの日に何が起こったか。
思い返すためにも、よい記事だと思います。
必見です。
【 〈プロメテウスの罠〉防護服の男(1)~(13) - 薔薇、または陽だまりの猫 】
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