初正倉院展です。
奈良国立博物館には前にも来ているのですが、列のできるところに液晶テレビが設置されていて進化していました。
初めてなので、音声ガイドを借りての参戦。
【第67回正倉院展 出陳宝物一覧】
01 北倉42 平螺鈿背八角鏡
02 北倉42 漆皮箱
03 北倉42 山水花虫背円鏡 附 題箋
04 北倉42 漆皮箱
05 南倉43 金銀匙
06 南倉86 金銀箸
07 南倉46 佐波理皿
08 南倉46 佐波理皿
09 南倉25 佐波理水瓶
10 南倉26 漆瓶龕
11 北倉33 彫石横笛
12 北倉34 彫石尺八
13 南倉101 紫檀木画槽琵琶
14 南倉115 漆鼓
15 南倉1 伎楽面 酔胡従
16 南倉1 伎楽面 力士
17 南倉1 伎楽面 師子児もしくは太孤児
18 南倉34 磁塔残欠
19 南倉35 白石塔残欠
20 中倉165 金銅火舎 附 木牌
21ー1 南倉50 柿柄麈尾
21ー2 南倉50 漆麈尾箱
22 南倉50 漆柄麈尾
23 南倉51 玳瑁竹形如意
24 中倉145 紫檀木画箱
25 中倉152 蘇芳地金銀絵箱
26 中倉177 粉地花形方几
27 北倉1 七条褐色紬袈裟
28 北倉1 御袈裟箱
29 中倉104 間縫刺繡羅帯残欠
30 中倉105 琥碧魚形
31 南倉136 布袴
32 南倉74 伎楽面鬚残片
33 中倉37 筆
34 中倉37 筆
35 中倉37 筆
36 中倉18 続修正倉院古文書別集 第三十三巻
37 北倉150 花氈
38 中倉202 花氈
39 南倉148 錦表黄氈心残欠
40 中倉202 褥心氈
41 中倉202 裁文布片
42 中倉15 正倉院古文書正集 第四十二巻
43 中倉16 続修正倉院古文書 第十三巻
44 中倉16 続修正倉院古文書 第四十六巻
45 中倉14 東南院古文書 第三櫃 第二十七巻
46 中倉14 東南院古文書 第三櫃 第三十三巻
47 中倉16 続修正倉院古文書 第三十二巻
48 南倉84 銀針 附 紙箋
49 南倉84 銅針 附 紙箋
50 南倉84 銀針
51 南倉84 鉄針
52 南倉85 緑麻紙針裹
53 南倉84 鉄針 附 紙箋・赤色縷断片
54 南倉82 赤色縷
55 南倉82 白色縷
56 南倉82 黄色縷
57 中倉51 紅牙撥鏤尺
58 中倉52 斑犀尺
59 中倉53 木尺
60 南倉168 密陀絵龍虎形漆櫃
61 聖語蔵2-4 金光明経 巻第四
62 聖語蔵3-94 根本説一切有部百一羯磨 巻第三
63 聖語蔵4-42 阿毘達磨集異門足論 巻第五
見どころは、今回メインに据えられた13番の「紫檀木画槽琵琶」。
ルイヴィトンを彷彿させますが、こちらが本家。
小さな3種類の花が規則正しく並んでいますが、花の緑色などは鹿の角を緑に染色してはめ込んでいるそうです。
展示は戻りますが、01番の「平螺鈿背八角鏡」も見事。
八角鏡となっていますが、八枚の花びらのような形をしています。
螺鈿背の名のとおり、鏡の背に螺鈿やトルコ石などをはめ込んでいる労作です。
後半戦になりますが、57番の「紅牙撥鏤尺」という物差しも美しい一品でした。
象牙を赤く染めて、掘り込むことによって白く浮きだたせる技法が、単純そうでも今は難しいものなのだろうと感じます。
儀礼用と考えられているようで、正倉院には8つが残っているとのことです。
裏面には飛天が彫り込まれているのですが、飛天が描かれているのはこの一体だけなのだそうです。
前半戦に戻りますが11番12番の「彫石横笛」「彫石尺八」も価値の高い物でした。
この2体は対になっていると考えられていて、どちらも蛇紋岩を掘り抜いたものです。
指穴のところに花が彫り込んであったり、わざわざ竹を模して掘っているなど、たいへん手の込んだものです。
天平のすごいと思ったのが23番の「玳瑁竹形如意」です。
玳瑁とはタイマイ、亀の甲羅です。
今から1300年以上のものに亀の甲羅が使われているということに驚きを感じます。
正倉院は東大寺所有なので、どうしても仏具が多いようで、この如意も仏具になります。
惜しいなぁと思うのが「間縫刺繡羅帯残欠」と「琥碧魚形」。
2つで1つのもののようです。
細かな刺繍が本当に繊細で、また、色づかいが美しいです。
どちらも損傷が大きいのが残念。
また、魚形は琥珀だけでなくガラスやサイの角などで作られたものもあるそうで、並んだところを見てみたいものです。
価値が最初は分からなかったのが「七条褐色紬袈裟」。
パッと見た印象は、敷物のような感じのモダンなデザインです。
国家珍宝帳の筆頭に袈裟が書かれているくらい、聖武天皇の仏教への帰依が感じられます。
インド出身で中国の密教僧の金剛智三蔵が使っていたと言われていて、仏教史的にも価値の高いものなのだそうです。
近くで見るとかなり繊細な生地で、かなり保存状態が良いです。
価値の高いものというのは、そのものの持っている輝きのようなものが違います。
それが感じられる展示でした。
面白かったのが42~47番の古文書で、一部読めない字もありますが、丹念に文字を拾っていくと解説よりも細かい内容が読み取れます。
最後コーナーに展示されていたのが「根本説一切有部百一羯磨 巻第三」。
「五月一日経」と呼ばれているものです。
光明皇后が、父母のために発願して行った事業で、20年間にわたって総巻数約7000にも及ぶものの1つです。
1つ1つ活字のように書かれた文字は1文字1文字に力が感じられます。
昔の人は文字にも力が宿ったと思っていたようですが、まさにそれが感じられる文字です。
全部まわって2時間。
終わったときにはすでに真っ暗になっていました。