水芭蕉にいるときから、外には稲妻が走り、まるで大雨のように雪が降っていたので、ちょっとイヤな予感はしていたのです。
食事とお風呂で正味2時間程度で、車は再び雪だるま。
それでも、安いし近いしということで、一路国道158号を使って名古屋を目指しました。
国道158号線は、険しい道ですが車通りの少ないところではなく、また私の車は1BOXの4駆でスタッドレス。もちろん、万が一に備えてチェーンも携帯しているので、多少雪深くとも走破できると思っていました。
後になって考えてみれば、大野市街を右折して158号に向かったときの道路の雪深さが危険を物語っていました。
大野市街の幹線は除雪をしていたのに、158号だけは除雪車が入っていなかったのです。
それでも、途中までは前走にトラックがいるようで、轍がしっかりついているので時速40kmペース。
稲妻はおさまりましたが、通常のスピードでワイパーが動いても、雪を掻き取った瞬間に窓ガラスが雪に覆われるような降りっぷり。
ワイパーの速度を速めると視界はある程度確保されるのですが、ライトに照らし出される雪の密度が明らかに体験したことのない量で、徐々に不安に…。
完全にヤバいという状況になったのは、先行しているトラックが路肩でスタックしているところから。
トラックと私の車のあいだに中型車が走っていたのですが、その車がトラックのスタックの後ろで固まっているので抜いたところ、轍がほとんど無い!
勝山市内を出発するときにガソリンは半分ほど。
通常ならばこれで300~400kmは走れるのですが、雪道になると極端に燃費が悪くなるのが分かっているので、ほとんど轍が埋め尽くされている道を走るのは不安が募ります。
さらには、急な斜面に這うように作られた道なので、左側はほとんど崖になっており、この辺りから小さな雪崩が起こり、崩れ落ちた雪が路面をさらに深く埋め尽くすようになってきています。
この雪の山が車の横を直撃することを想像するだけで、かなり恐ろしい…。
雪崩をの山を突破するたびに、熱を保っているライトに雪が付着して明るさを奪います。
また、タイヤハウスも雪が詰まり、アクセルを強めに踏む必要も出てきます。
止まるとスタックしてしまう恐怖があるので、トンネルやシェルターのところまでは頑張るしかありません。
少し救いがあるとすれば、超大雪状態から大雪状態になってきたことくらい。(苦笑)
トンネルでライトの雪を払い、タイヤハウスの雪も取り、ついでに燃費確保のために車に積もった雪をできるだけ落としていたところ、先ほどの中型車が私を追い抜いて先頭に。
その時はちょっと救われました。
車のサイズが違うので轍のサイズも違うのですが、何もない雪原を走るような状況よりはかなり楽に。
雪崩の山を突破する手間がないだけ、かなり良いものです。
この頃になると、もはや走行車線は深さ30~40cmくらいになっていて走行不能なので、中型車も私も反対車線を走るしかない状態にまでなっていました。
それでも、先行車がいる分だけ楽だと思っているのもつかの間、前方にはトラックと中型車のテールランプが止まっているのが見えます。
近づいていくと、トラックは完全停止。
中型車も、トンネル手前の微妙な上り坂でタイヤを虚しく空回りさせています。
困ったことに、中型車はトラックの状況を探りながら止まったために、轍のある車線をすべて潰して停まってしまったこと。
どうしようと少し様子を見ていたところ、さらに困ったことに対向車。
これで中型車のオーナーは完全にパニクってしまったようです。
車からスコップを持って飛び出して、車の周りの雪をどかすのですが、何度やってもタイヤは空回りをするばかり。
できれば自力脱出をして欲しかったのですが、このままでは私も対向車も共倒れになってしまうので、結局中型車を救助することに。
本当に緩やかな分からないくらいの登りなのですが、一度停まってしまうとどうしようもなくなるものです。
もはや救助を呼ぶべきなのかも知れませんが、困ったことに九頭竜湖畔は広範囲にわたって圏外!
3人がかりで周辺の雪をどけても、さっきまでは進んでいたはずなのにタイヤは空転するばかり。
私と対向車さんで押すのですが、それでもなかなか思うところに車が動いてくれず、30分ほど悪戦苦闘した挙げ句にやっと車1台が通れる道を確保。
中型車さんには、救助を呼ぶからもう動かない方が良いことを告げ、私と対向車さんはそれぞれ先に進むことに。
トンネルに入るとトンネルの反対側にもトラックが2台動けなくなっています。
トンネル内で、せっかくライトの雪を除いたり、タイヤハウスの雪の詰まりを出したばかりだというのに、そのトラックのせいで再び30~40cmの轍のない道に突っ込むことになり、再びライトが覆われ視界不良。
しかし、本当に先頭になってしまったので…、というか、進行方向には私1人になってしまったので、ブレーキを踏むには恐ろしすぎます。
もはや走行車線は、走る車もなく、崖からのプチ雪崩で40cm以上の積雪になっていて、いくら馬力のある車でも気楽には突っ込んでいく気にはなれません。
幸いなことに、対向車も来なくなっているので、轍のある対向車線を突き進めることが救いです。
深々と降り積もる雪の中を走っていると、さらなる難敵があるものです。
対向車線は、轍がかなり埋もれてきているとはいえ、トラックがある程度除雪をしてくれているようなものなので走りやすいのです。
ところが、ときどきバンパーが雪を蹴散らして、舞い上がった雪で視界不良になるところが…。
何回か経験をして気がついたのですが、橋の上なのです。
四方八方から風が吹くために、普通の道よりも積もる量が早いようなのです。
もちろん、おかげで再びライトが覆われることに…。
幾度となく、トンネルやシェルターのたびに車を降り、雪を除け、走り続けると、東市布に入ってやっと除雪の跡があるところまで来たときには、やっと生還できたと安心しました。
除雪といっても積雪に追いついておらず、かなり積もってはいるのですが、あんな雪原を走ってきた後では無いも同然。(笑)
油坂峠道路に入ると、携帯のアンテナも3本立ったので、さっそく警察へ。
最近は110番通報すると、GPSでどこにいるのか分かってしまうのですね。
ぎふ大和PAで車を停め、飲んだホットコーヒーは本当に美味しかったです。
恥ずかしい話ですが、状況判断を甘く見た結果の顛末です。(恥)
今後のスキーライフに役立てて欲しいと思います。