今回は、とくに面白かった。
もう6回も見返しています。(笑)
今回は、タイトルも「勝麟太郎」そのままです。
武田鉄也の圧倒的な存在感に、グウの音も出ません。
平行して「草燃える」を見ていまして、安達盛長役の若き日の武田鉄也をちょうど見ています。
金八先生は、私の年代にしては珍しいと思いますが、見ていません。
それでも、私にとっての武田鉄也は、海援隊の武田鉄也で、安達盛長の武田鉄也で、金八先生の武田鉄也なんですね。
それが、龍馬伝の武田鉄也は勝海舟に見えてくるから凄いです。
さすがは私なぞ足元にも及ばない龍馬ファン。
龍馬にとっての重要人物である勝海舟を演じるのは楽しくて楽しくて仕方ないのではないでしょうか。
正直言って、龍馬伝の龍馬は脱藩の理由とかが今一つスッキリしない。
龍馬ファンとしては、前にも書きましたが龍馬が「攘夷!」とか「尊皇!」とか叫んで脱藩とかして欲しくはないのです。
その頃の龍馬は、自分が何ものであるかも分からない曖昧模糊のまま、熱病にうなされたように土佐を飛び出したんじゃないかと思っています。
しかし、龍馬伝は曖昧模糊すぎて、脱藩という高いリスクを冒してまで何をしたいのか分からない。
そんな迷走気味の龍馬さんを、ビシッと武田海舟は導いて、ドラマ自体の方向性まで導いてくれましたね。
コレを狙っていたとしたら、脚本・演出ともまだまだ仕掛けが多く、楽しませてくれそうで期待してしまいます。
さて、今回の勝麟太郎登場ということで、多くの人が勝と龍馬の出会いをどのように展開させるのかが楽しみだったと思います。
ちなみに、龍馬と千葉重太郎が「勝を切る!」と乗り込んでいって、勝の人柄に惚れて方向転換するというのは、勝海舟が後年に語ったものですが、記憶違いのようです。
今回は、小道具としてのメモ・地球儀・武市半平太・近藤長次郎が上手く効いていました。
海舟のあのメモは事実だったようで、たくさんの記述が残っているそうです。
ただ、海舟のメモには時系列が整理されていないそうで、それが史実の混乱を招いているそうです。(笑)
いちどケンカ別れをする海舟と龍馬ですが、長次郎と半平太が関わることによって、龍馬と再び逢ってみようとする筋書きもなかなか上手でした。
「藩も幕府もいらない」という言葉を龍馬が言ってしまうとくどくなってしまいますが、半平太の口を使って言わすことによって、龍馬を引き立てつつも、半平太の方向性の間違えを示唆しているわけですね。
「饅頭屋の分際…」というのはだめ押しですね。
半平太はどこまで行っても龍馬の引き立て役になってしまいますが。
そして、今回3度出てくる地球儀。
最初は、龍馬も半平太も聞こうとしないわけです。
しかし、海舟は咸臨丸で太平洋を一直線にアメリカに渡った「日本人」を伝えようとしているわけですね。
すれ違いがありつつも、可能性を見いだし、自分の中から答えを見つけださせる。
これによって、今まで張ってきた伏線を回収しつつ、龍馬の「自分探しの旅」も終わらせるために必要なプロセスなわけだったんですね。
爽快でした。
ところで、海舟の書斎に掲げられた「海舟書屋」の額には気がつきましたか?
あれは佐久間象山から貰った篆刻で、「海舟」の元となっているものです。
篆刻じゃつまらないので、額なのでしょう。
こういう小技もいろいろと効いていて、楽しいですね。