新装開店した龍馬伝。
オープニングもいきなり桂浜に立つ龍馬に変わっていてビックリです。
しみったれた土佐での家族や恋愛話などがチマチマチマチマ続いていて、見たいものをなかなか見せてもらえなかった身としては、唯一の清涼剤、吉田東洋さまが暗殺されてしまいどーなるものかと思っていましたが、なかなかの男祭りが続いていて嬉しい限りです。
絵も細かいですね。
アバンの乙女ねえやんの横の籠の中に入った猫とか、丸窓から見える紅葉とか、玄関の木造とか、小物があちこちでいい味を出しているので、見れば見るほど楽しいです。
しかし、この2回で完全に主役を食っているのが、以蔵ですね。
人切り以蔵の誕生から、暗殺者に染まる以蔵、そしてモンスター化していく入り口までが今回順を追って丁寧に描かれていて、妻なんかすっかり「武市嫌い」になってしまいました。(笑)
そりゃまあ、史実とはいろいろ違います。
しかし、初回の井上佐一郎暗殺が、史実通りの絞殺だったのは良かったです。
あと、途中からのいきなりの無音。
結構殴り合いとかすると音ってあとから思い出そうにも思い出せなかったりしますから、なかなか臨場感がありました。
それ以降の暗殺の描写は、さすがに今のNHKの夜8時では難しいでしょうか。
目明かし文吉なんか、ここに書くにもおぞましいくらいですし。
実際の以蔵は、集団で暗殺していることもあるのでしょうが、かなり残虐です。
あと、本間精一郎暗殺などに一緒に関わった薩摩藩の人切り、田中新兵衛をださなかったのは英断でしょう。
人切りだらけでワケが分からなくなりますからね。(笑)
ちなみに、「幕末四大人切り」などに岡田以蔵や田中新兵衛も数えられていますが、他には河上彦斎や中村半次郎(桐野利秋)などが上げられ、また、人切り集団新撰組の中でも大石鍬次郎などが「人切り界」での有名人だったりします。(笑)
話は戻しますが、佐藤健にはかなり細かい表情の描写が求められているのだと思いますが、従来の「殺人マシーン岡田以蔵」ではなく、「アホで一途で小犬のような岡田以蔵」を描き出すのに成功しているのではないでしょうか。
龍馬マニアとしては「この以蔵は違う。この以蔵は違う…」と思っていても、タケルの以蔵が実在した岡田以蔵であるかのように見えてくるのですから参ります。
今回は、人切り以蔵が土佐勤王党でも抑えられないモンスター化する直前に龍馬に会い、少し心を取り戻す描写で終了しましたが、このあとも「武市の流し目」でどんどんとすさんでいくのでしょうね。
・・・それにしても、龍馬の長演説は何とかならないのかな。
この物語の中で、龍馬だけが等身大に見えないんだよなぁ~。