鹿児島から高千穂までは強行軍で、着いたのは明け方でした。
その割には目覚めも早く、しばらく道の駅が開くのを待つ余裕もあったくらいです。
基本的には旅の予習はしない主義でして、現地に着いてからSAや道の駅や中心駅などに立ち寄って情報を仕入れてからという行き当たりばったりなので、途中での情報もなく、高千穂では道の駅が開かずにちょっと困ってしまいました。
高千穂には、天安河原と真奈井の滝を見てみたいという漠然としたもので、しかも九州には「高千穂」という地名が2つあり、道の駅とかあるのでこっちなんだろうというデタラメさで来たもので、情報を仕入れないことには始まらないのです。
で、道の駅で情報を仕入れたわけですが、このときのガイドさんによって「高千穂の夜神楽」に導かれました。
高千穂の夜神楽は、高千穂神社の神楽殿で行われます。
正しい夜神楽は33番。
ここらへんは宗教的にかなり入り交じっていて、「観音様は33に化身する」という仏教思想が混じっているそうです。
33番の順番も、地域によって変わる場合もあるそうですが、私の見た4番の神楽は、24番「手力雄(たぢからお)」、25番「鈿女(うずめ)」、26番「戸取(ととり)」、そして20番「御神体」となっています。
私が気になったのは舞台です。
あとから調べてみたところ簡略化されているようで、「神庭(こうにわ)」とその中の「雲(天蓋(てんがい))」と「南の太鼓の座」と客席にあたる「外注連(そとじめ)」だけとなっているようです。
本式の夜神楽では、まず外に「外注連」が設置され、神々はそこを目安に降りてくるそうです。
外注連に降りた神々は、半開きの扇や日(赤い丸)や月(緑の丸)の「飾(え)り物」が吊された4本の「みどりの糸(道の注連(しめ))」を通って「内注連(うちじめ)(神庭)」にやってくるそうです。
神庭の東は神座(こうざ)となり、天照大神の筥宮(はこみや)を中心に、神面(しんめん)(おもて様)や御神酒、米・野菜などの神饌(しんせん)が供えられます。
降臨された神々は、みどりの糸を伝ってこの神座に来ていただくわけです。
神庭の南は「太鼓の座」。
西は外注連となり、神楽を見る人たちはここに座ることになります。
神庭の大きさは二間四方。
四方を竹と榊で飾られ、注連に聖域を表す「彫(え)り物」という切り絵が飾られます。
中央には、「鳥居と陰陽を表す日と月」、その両脇には「湯襷(ゆだすき)」という子授安産豊穣を表す結びの切り絵、さらにその脇には土徳神を表す「土」が飾られるのが基調のようです。(地域によって違う)
その他には「木火金水」や「十干十二支」を意味する切り絵が飾られます。
さらに、7本・5本・3本の藁が出ている注連縄(しめなわ)。
注連縄は七五三縄とも書きますが、まさにその通りです。
しかし、神事なのに他の宗教的な思想が混じっているのが日本らしいと思います。
それにしても「飾り物」「彫り物」をどちらも「えりもの」と呼ぶのは紛らわしくはないのだろうか?
舞台の仕組みについては、まだ上辺のことしか分かりませんが、これだけでも十分面白いです。
長くなったので、まずはここまで。