ちょっと長い引用になります。
17日から水棺着手 福島1号機、保安院見解
2011年4月21日
福島第一原発の事故で、経済産業省原子力安全・保安院は二十日、原子炉を効率的に冷却するため、格納容器内を水で満たす「水棺(すいかん)」について、既に十七日から1号機で作業を実施してきたことを明らかにした。格納容器内の水量は不明だが、水は確実にたまってきており、水が入った状態での耐震性についても、最終チェックの段階にきているという。
東京電力が十七日に発表した事故の収束に向けた工程表では、1、3号機は第一段階として三カ月後までに、格納容器を水で満たし、熱交換器も設置して安定的な冷却(水棺)を完了。その後の三~六カ月で原子炉を一〇〇度未満の「冷温停止状態」にすることを目指している。
保安院の西山英彦審議官は会見で、「水棺という定義ははっきりしないが、格納容器を水で満たす意味なら、工程表を発表した十七日の段階から入っている」とし、今後も炉心への注水を続け、意図的に圧力容器から格納容器に水をあふれさせる手法で水棺を実現すると述べた。
1号機では、炉心に注水する一方、水素爆発を防ぐため、七日から格納容器内に窒素の注入を続け、容器内の水蒸気が冷えて水がたまっているのが確認された。この現象を水棺の手法に応用した。
原子炉建屋内は、直近のロボット調査でも1号機で毎時一〇~四九ミリシーベルトと放射線量が高いことが判明。別の調査では同二七〇ミリシーベルトの数値も観測された。これでは、作業員の実質的な年間被ばく許容量一〇〇ミリシーベルトに、わずかな時間で達する。
今回の手法は、建屋に入っての工事を減らすことにもつながり、保安院は効果的な方法と判断した。ただし、2、3号機では、格納容器の損傷が1号機より大きいとみられており、まずは損傷部をどうふさぐかが先決になりそうだ。
東電は「現時点で水量を増やして、水で満たす作業には着手していない」と、保安院とはやや食い違う認識を示している。
一方、保安院は二十日、3号機の立て坑の水位が前日夜から三センチ上昇したと発表した。東電によると、同日午前七時現在で、地表から水面まで百八センチ。3号機には約二万二千トンの汚染水があると推定されている。東電は「タービン建屋からの流入か、地下水からの流入かは特定できていない」としている。
2号機の高濃度汚染水は二十日午後六時現在で、三百二十トンを集中廃棄物処理施設に移送した。
原発事故会見を25日から一本化 説明の食い違い指摘で
細野豪志首相補佐官は21日、福島第1原発事故対応をめぐり、東京電力や経済産業省原子力安全・保安院、原子力安全委員会がそれぞれ実施している事故に関する記者会見を、25日から一本化するとの方針を明らかにした。東日本大震災に関する政府と与野党政策担当者の実務者会合で報告した。事故に関する説明が食い違うなどの問題点が指摘され、一本化を求める声が上がっていた。
細野氏は政府と東電の事故対策統合本部で事務局長を務めており、会合で「私が統合本部として情報を整理し、それぞれの担当部門に報告してもらう形にする」と説明。会見場所は東電本店とする方向で調整している。
2011/04/21 21:37 【共同通信】
水棺、1号機で順調
福島第一原発の事故で、東京電力は二十三日、格納容器内を水で満たす「水棺(すいかん)」作業が続く1号機で、水が圧力容器の下部付近まで達しているとの見方を示した。間もなく圧力容器下部の温度計に触れ、水位を把握できるとみられる。
東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、1号機の燃料棒を冷やすための注水が圧力容器から格納容器に流れ出るなどし、水位は圧力容器下部付近まで達している。水素爆発を防ぐための窒素注入による格納容器内の圧力変化から気体部分の体積を計算し、残りを水として水位を推計した。
圧力容器下部の温度計に水が接すれば、温度変化から水位を把握できる。これまで正確な水位は把握できていなかった。1号機の格納容器の底から圧力容器下部までは約九メートルある。保安院は「(圧力容器下部に)触れていそうな予想もできるが、温度には表れていない」としている。
東電は、満水にした場合も格納容器の耐久性に問題はないとしているが、窒素注入では想定より圧力が上がらず、水の漏えいも今後考えられる。
(東京新聞)
原子力発電所への興味が日々無くなっていく中で、1号機について不気味な記事が続いています。
まず、最初の記事ですが、これは官僚側の立ち位置と作業側の立ち位置の差からこのようなことになったのではないかと思います。
どちらの意見に信憑性があるかというと、やはり東電側ではないでしょうか?
つまり、水棺に向けての作業は行われていなかったと。
水棺を実施するにしても、水による圧力もありますので、格納容器とパイプの接続や、容器を支えるコンクリートの耐久性などを充分に精査してからの作業だったと思います。
また、水を循環させる装置を備え付けてからの実施だったとも思います。
ツイッターで技術者の方が、循環装置無しだと、冷温化には熱循環で30週はかかると発言していましたが、おそらくそうなのでしょう。
水を溜めることによって重くなった炉は、余震で大きく揺らされたときに耐えられるのでしょうか?
そんなに悠長に燃料棒の冷却化を待ってられるのでしょうか?
ところが、食い違いを防ぐため、保安院と東電・安全委員会は会見を一本化すると言い出しました。
当初の東電の会見には信用できないもの(というか東電も良く分かっていなかったし、政府の情報統制への対応の仕方も分からなかった)でしたが、最近の会見は実際に作業をする技術者として、分かりやすかったと思います。
政府の情報統制が行われた場合にも、明らかに変な会見で「裏をくみ取ってくれ」と言わんばかりですし。(笑)
例えば、昨日の4号プール内の撮影ですが、「約90度の温度のために断念」なんて言ってます。
ロボットは再挑戦したのに、プールの撮影は断念。
しかも、90度なんて始めっから分かっていたこと。
つまりは、公表できないものが映ったということなんでしょう。
そういう意味で、東電の記者会見は信用できます。(爆)
そして、3つめの記事ですが、これは東電が官僚のメンツを立てたということなのでしょう。
今までと注水量が変わっていないのに、水棺の作業に取りかかったなんておかしすぎます。
水棺の作業を進めていると公表しつつ、別の作業(準ずる作業)になっているのではないかと思います。
新聞などでは、1号機はもう安心といわんばかりの書き方ですが、なにか不気味です。
長くなるので引用はしませんが、記者クラブの方から記者会見の分離を求めたそうです。
実際、保安院の会見などは記者も仕方なく質問している感じですし、ヅラのあの人は知識がほとんど無いということもバレてしまいましたから、必要なのは東電の会見ということになるのでしょう。