高速道路上の放射線分布測定より得られた
福島第一原子力発電所から飛散した放射性物質の挙動
Ⅲ. 結論
福島第一原子力発電所から放出された放射性物質は,風の影響を受けて西の方角に飛散し阿武隈高地を越えた。飛散した放射性物質は,2011 年3 月15 日14:48 から少なくとも20:41 までに福島県郡山市及び福島県福島市に到達した。阿武隈山地と奥羽山脈に挟まれた福島県中通りにある両市において,飛散してきた放射性物質を含む空気を受け止める形となり,さらに天気が霧雨であったため,133Xe以外の到達したほとんどの放射性物質は短時間に両市で降下し沈着した。福島県会津若松市や宮城県白石市には,地形と風向きの恩恵により放射性物質は到達しにくかった。一方,郡山市から南の方角には放射性物質が流れて行った。2011 年3 月15 日の放射性物質沈着直後の放射線線量率は,ほとんど132Te とその娘132I からの放射線によるものであった。その後,沈着した放射性物質は移動せず,また福島第一原子力発電所からの大きな放射性物質の放出による付加がなく,放射性壊変による減少のみが起こったことがわかった。結果として,短寿命の132Te が壊変してなくなった後の2011 年4 月8 日には132Te と同じ挙動をしていたCs の同位体からの放射線線量率を観測することになり,分布の形は当初のものをそのまま残している。放射線線量率への長半減期核種の寄与が大きく,これからの放射線線量率の自然減少には時間がかかるであろう。一方,131I は132Te やCs 同位体と挙動が大きく異なることがわかった。化学形の違いが飛散挙動に影響を及ぼしているのではないかと推測される。
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