「カンの顔を見たくないなら通せ」菅首相が挑発
2011.6.15 20:42
「国会には『カンの顔だけは見たくない』という人が結構いる。そういう人たちには『本当に見たくないのなら、早くこの法案を通した方がいい』と言おうと思う」
菅直人首相は15日夜、国会内で行われた再生可能エネルギー促進法の早期制定を求める集会に飛び入りで参加すると、早期退陣を求める与野党議員らにこう訴え、挑発してみせた。
首相は「将来のエネルギー源の選択肢を育てるためにも、この法案を通したい」と、太陽光など再生可能エネルギーによる電力を、電力会社が全量買い取る特別措置法案を在任中に成立させたいとの並々ならぬ意欲も示した。
集会には、民主、社民両党の国会議員を中心に、ソフトバンクの孫正義社長ら民間人も参加。
なんか、この人は勘違いをしていないか?
さて、文句を言う前に「再生可能エネルギー促進法」を学んでみましょう。(池上風)
「再生可能エネルギー促進法」というのは、「自然エネルギーによって発電した電気を固定価格で買い取る」という制度です。
ザクザクと行きますが、現在の日本は「電気事業法」に阻まれて自然エネルギーによる発電にはあまりうま味がないので発展しません。
そこで、固定価格で買い取ることによって発展させようという制度です。(大雑把)
制度自体は悪くないですよ。
とりあえず、第一歩になると思いますし、これに異論を挟む人は少ないでしょう。
ですから、菅首相も錦の御旗としてこれを押し立て、国会を乗り切る+政権延命を図っています。
岡田幹事長は「空気が違う」と言って退陣を迫ったようですが、今ひとつこの法案は国民に浸透していません。
首相は、すっごく良いことをしているつもりですし、野党も反菅勢力も攻め手を欠いているのでノリノリで挑発をしていますが、本当に「空気が違い」ます。
1つ
今やることか?
首相として血眼になって、首相官邸ブログ(KAN-FULL BLOG)で「再生可能エネルギー促進法」をアピールしていますが、あんたは総理大臣だよね。(見るとトップの絵がむかつく)
一歩譲って、一議員としてやるならいいけど、首相としてならやるべきことは「復旧」と「復興」を整理した2つの救済なんじゃないの?
まずは放射能。
一日も早く、放射能を止め、撒き散らかされた放射能を回収するべき。
汚染された野菜を流通させず、家畜を全国に拡散し、瓦礫も全国で焼却を始めている。
チェルノブイリを知るヨーロッパから見れば、狂気の沙汰。
そして、この行為によって日本人の信頼も失っているし、日本食品も日本製品の信頼も失っている。
放射能を片付けない限り、「復興」は慎重にしないと、かえって汚染を広げてしまいます。
そして、被災者。
まだ、上下水道・電気・ガスが整っていないところもある。
一日も早く、避難所から仮設住宅に移っていただくべき。
ローンをどうするのかを決めてあげるべき。
義援金を配ってあげるべき。
その他、作るべき法と組むべき予算は山ほどある。
「復旧」は1日も早く急ぐべき。
そして、「復旧」と「復興」の整理をつけるのが政府の仕事じゃないのか?
2つ
先にやるべきことがある。
「再生可能エネルギー促進法」は未来の電気の法律です。
未来の電気も大切だけれど、必要なのは今年の夏の電気じゃないの?
電気はある。
資源エネルギー庁にこのような資料があります。
自家用発電所認可出力表(XLS/38KB)
この資料を見ていくと、民間企業が自家発電で6000万kWを作り出す力があることが分かります。
もちろん、これは自分たちで使うための電気なわけですが、もちろん余力があります。
これもザクッと書いてしまいますが、この電気を政府も電力会社も積極的に利用しないし、極力公開しない。
突き詰めてしまうと、最近よく聞く民間企業への「送電線の解放」が一番良いことが分かってしまうからです。
そうすれば、原発が無くても夏を乗り切れます。
念のために言っておきますが、「送電線の解放」はパラダイスなわけではありません。
電気の質が落ちる可能性もありますし、一時期のロサンゼルスのように停電が頻発する可能性もあります。
また、この電気は火力発電が主流という問題もあります。
しかし、今年の夏に電気が 本当に 足りないというのなら、菅首相が未来のエネルギーを想うのなら、「送電線の解放」をするべきなのです。
調子こいて
「国会には『カンの顔だけは見たくない』という人が結構いる。そういう人たちには『本当に見たくないのなら、早くこの法案を通した方がいい』と言おうと思う」
などと自分が正義であるかのように言っています。
しかし、国民を守らず、順序を間違えている首相の言葉は、国民には染みてこない。
あまりにも延命が透けて見え、国のために働いているように見えない。
野党や反菅勢力が攻め手を欠いている今なら、首相は大抵のことは提案できるはず。
国民投票だって、原子力発電所の廃止だって、送電線の解放だって必要なことがわかっているはず。
それをやらないと言うことは、所詮、見栄えの良いことを言っているようにしか見えません。
首相の言葉は心に伝わりません。