放射性物質:がれき収集の男釈放 処理法適用外で福島県警
東日本大震災で壊れたブロック塀を無許可で収集したとして、福島県警郡山署に廃棄物処理法違反容疑で逮捕された男が、処分保留で釈放されていたことが分かった。同法は放射性物質で汚染された廃棄物は適用の対象外としており、福島地検郡山支部はブロック塀に放射性物質が付着している可能性も否定できないとの判断をしたとみられる。法整備の遅れが露呈した形で、今後、「不法」投棄などによって放射性物質を含むがれきが拡散する恐れもあり、警察当局など関係機関は早急な法整備を求めている。
同県警によると、男性が逮捕されたのは3月26日。許可業者でないにもかかわらず、3月24日に、郡山市内の民家から倒壊したブロック塀のコンクリート片など約1.8トンの処分を、4万2000円で請け負い、車で収集したとされる。
廃棄物処理法は「放射性物質に汚染されたものは除く」と除外規定があり、地検はコンクリート片が放射性物質で汚染されている可能性は否定できないと判断したとみられ、男性を処分保留で釈放した。福島地検は「コメントできない」としている。
同法を所管する環境省廃棄物・リサイクル対策部適正処理・不法投棄対策室は「現行の除外規定が放射性物質の濃度や放射線量を定めておらず、犯罪を助長するとの指摘もあるため、現在、同法改正などを視野に検討を始めている」としている。【蓬田正志、野倉恵】
毎日新聞 2011年7月8日 11時40分(最終更新 7月8日 12時50分)