放射線計測機器「ガイガーカウンター」代金支払い…商品届かず サイト業者「詐欺といわれても仕方ない」
2011.8.6 01:32
東京電力福島第1原発事故後に、放射線量を計測する機器「ガイガーカウンター」を販売するインターネット上のサイトで、代金を支払ったのに商品が届かない被害が相次いでいることが5日、産経新聞の調べで分かった。被害者は全国で少なくとも200人。業者は「入荷した」などと虚偽の説明で返金を先延ばしにしており、「詐欺ではないか」との声が上がる。放射性物質(放射能)への懸念で品薄だったガイガーカウンター。被害者は「不安につけ込むなんて許せない」と怒りをみせる。
販売サイトは、福島第1原発の事故が発生した後の3月末ごろに開設。サイト上で、5万~9万円台のガイガーカウンターを「おすすめ商品」として写真付きで掲載し、販売していた。
被害者の関係者によると、このサイトを見て代金を指定口座に振り込んだのに、商品が届かないケースが続発。電話やメールなどで返金を求めても、業者が応じないという。
業者側は、被害者に対して「新たに1500台を仕入れた。届き次第、商品を引き渡す」などと説明していたが、産経新聞の取材に、実際には商品を調達していないことを認めた。
被害者は、原発事故のあった福島県など東日本大震災で被災した東北各地のほか、東京や九州、北海道など全国に広がっており、被害総額は1千万円以上に上るもようだ。
この時期は、福島第1原発事故の影響で放射線量を計測する機器の需要が高まっていたが、政府や公共機関の購入などで品薄状態だったことから、サイトに注文が集まり、被害が拡大したとみられる。
サイト運営業者の男性は産経新聞の取材に対し、「約300件の注文を受けたが、200件については商品を送っていない」と認めた。理由については「米国から輸入しようと思ったが、市場で品薄になった。商品の故障が分かったりしたため、対応に追われるうちに、返金に応じられない状態になった。だますつもりはなかったが、詐欺といわれても仕方がない」と釈明している。
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ガイガーカウンター 放射性物質の強弱を数値化して表示する放射線量計測機器の一種。不活性ガスが入った容器の中を放射線が通ったときに発生するパルス電流を計測する仕組みで、約80年前にドイツの物理学者、ハンス・ガイガーらが開発した装置を応用している。販売店やネット上のサイトで注文が殺到しており、現在も品薄状態が続く。