家族の「体調が悪化」7割
2011年10月01日
●全世帯避難 楢葉町調査/心身負担くっきり
東京電力福島第一原発の事故で、全町民が避難している楢葉町が全世帯を対象にアンケートしたところ、回答者の約7割が「避難が続く中、体調が悪くなった家族がいる」と答えた。「先の見通しがつかず、精神的につらい」との回答も7割を超え、長期の避難が心身に重い負担となっている実態が浮かんだ。
アンケートは、町の復興計画を策定する際の参考にする目的で同町が8月、全2900世帯を対象に実施。1995世帯の世帯主らの回答を得た。
家族の体調に関する質問では、「少し悪くなった家族(回答者を含む)がいる」が53.8%、「非常に悪くなった家族(同)がいる」が17.7%で、合わせると約7割にのぼった。
「家族に次のような人がいるか」との設問(複数回答可)では、「先の見通しがつかず、精神的につらい」が72.2%。「睡眠があまりとれない」「することがなく、生きがいがない」が、それぞれ3割を超えた。また、17.8%の回答者が「アルコールを飲む回数や飲む量が増えた」と答えた。
避難による収入の変化を問う設問では、「あまり変わらない」が最も多く、28.3%を占めたが、月額で2~3割くらい減ったと答えた人が22.6%あり、「まったくなくなった」も21.7%にのぼった。
収入が「まったくなった」と答えた人のうち、8割超は、体調が悪くなった家族がいると回答した。町は、避難による収入減の大きな世帯ほど、体調が悪くなった家族がいると答えた割合が高くなっている、と分析している。
草野孝町長は「復興に向けたステップを、ひとつずつ示していくことで、町民に心のゆとりを持ってもらえるよう、取り組んでいきたい」と話している。