日本負担の数十億円無駄に 英MOX燃料工場の改修費
'11/10/18
【ロンドン共同=市川亨】原発の使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画をめぐり、日本の電力10社が費用負担して改修工事が進んでいた英国のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料工場の閉鎖が決まったため、既に拠出した少なくとも数十億円が無駄になったことが18日、分かった。関係筋が明らかにした。
工場閉鎖の直接的な原因は、東京電力福島第1原発事故で「日本がMOX燃料を受け入れる見通しが立たなくなった」と英側が判断したためだ。
工場の改修が必要になったのは以前から故障が相次ぎ、計画通りにMOX燃料の製造が進まなかったという英側の事情からだった。日本側は、英国に搬入した使用済み核燃料から取り出したプルトニウムは、安全上の理由により英国内で加工するしかないため、やむなく改修費用を負担。さらに想定外の工場閉鎖で、支出済みの改修費が完全に無駄になる事態に陥った。
電力業界は「閉鎖決定はやむを得ない」としているが、こうした費用は最終的には電気を使う消費者に跳ね返るだけに、業界の説明責任が問われそうだ。
工場は英中西部セラフィールドに英政府の外郭団体、原子力廃止措置機関(NDA)が所有。東京電力、中部電力など原発を持つ日本の電力10社は1969年から使用済み核燃料を英国に順次輸送していたが、工場のトラブルのため日本向けのMOX燃料はまったく製造できていなかった。
このため10社は昨年4月、工場設備の改修などで日本側が数百億円負担する契約をNDAと締結。浜岡原発(静岡県)向けMOX燃料製造を目指し中部電が先行して作業を進めていた。
関係筋によると、閉鎖には日本側も同意したため、違約金などの請求はできなかったもようだ。
NDAの担当者は「契約の具体的な内容や金額についてはコメントできない」としている。
〔中国新聞〕
震災は言い訳? 故障だらけの英MOX工場
'11/10/18
【ロンドン共同=市川亨】日本の電力会社が改修費を負担することで、「延命」していた故障続きの英プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料工場は、東京電力福島第1原発事故の影響で命運が尽き、少なくとも数十億円が水泡に帰した。日本が英国で保管するプルトニウムは行き場を失い、保管費用も膨らむ一方だ。
「英産業史上、最も屈辱的な政府の失敗の一つで無用の長物」。内部告発サイト「ウィキリークス」が公表した約2年前の米外交公電で、同工場は、そう表現された。
2006年に英コンサルティング会社がまとめた報告書は、工場では重大な故障が年間約100件、小規模故障が約3万7千件発生したと推定。年約120トンのMOX燃料製造計画に対し、実際は累積約15トンにとどまった。
前身となる施設からはMOX燃料が1999年、関西電力高浜原発(福井県)に輸出されたが、英側のデータ改ざんなどが発覚。日本のプルサーマル計画の遅れも招いていた。
英側は日本と改修契約を交わす前に閉鎖も検討していたとされ、日本政府関係者は「英側の失敗を小さく見せるため、(原発事故が起きた)日本の事情が利用された面もある」と指摘している。
昨年末時点で日本が国内外で保管するプルトニウム約30トンのうち、英国分は11・6トンを占める。改修などに使われるはずだった数百億円の資金の残りも今後のプルトニウム保管費用に充てられる。英政府は新たなMOX燃料工場の建設を検討しているが、実現には長い時間がかかりそうだ。
〔中国新聞〕
とりあえず、ゴチャゴチャ言われて、プルトニウムの保管料を取られまくる前に、日本に持ってくるんだね。
原発産業なんて、もう、あっちもこっちも行き詰っての斜陽産業。
これ以上傷を広げないように知恵を絞ってください。