柏の旧陸軍施設で高セシウム検出
千葉県柏市の市有地で毎時57・5マイクロシーベルトの高い放射線量が測定された件で同市は22日、土壌を調査した結果、放射性セシウムが検出されたと発表した。最大で1キログラム当たり27万6000ベクレルの放射性セシウムを検出。24日に文科省とともに現地調査して原因特定を進め、今後の対応を協議する。
市有地は工業団地と住宅街に挟まれた空き地で、半径1メートルの範囲で高線量を測定。同市は21日から、測定地点を土砂やブルーシートで覆い、半径3メートル以内を立ち入り禁止としている。
近隣の住民によると、この市有地は戦時中、旧日本陸軍の高射砲第2連隊などの軍事施設があったという。その後、同市が1950年(昭25)に国から買い取り、市営住宅などを建設。98年ごろに空き地となり、現在は市が町内会に無償で貸し出し、近隣の住民らが定期的にグラウンドゴルフなどを楽しんでいるという。この地区に40年以上住んでいるという男性は「空き地は階段状になっているでしょう。地質が良く、高射砲が置かれていたと聞いたことがある。何かとんでもないものが埋まっているのかも」と不安を隠せなかった。
しかし、軍事評論家の吉原恒雄氏は「爆薬やミサイルが多量の放射線を出すとはまず考えられません」と高射砲との関連性を否定。「ただ、軍事施設内の工場で、何らかの放射線を使った製品が作られていて、それらがまとめて廃棄された可能性はある」とコメントした。
同市によると、高線量が検出された地点は局所的で、戦中の軍事施設とは無関係だとしているという。
また、文科省は「東京電力福島第1原発事故で放出された可能性は否定できない」と指摘。検出されたセシウム134とセシウム137の割合が、同事故で放出されたセシウムの割合と近いという。ただ、検査結果は地表より地中の方が濃度が高くなっており、文科省の担当者は「深さ30センチとかなり染みこんでいることや原発からの距離を考えると、奇妙なことが多い」としている。
[2011年10月23日8時2分 紙面から]