汚染土壌除去 中間貯蔵施設の設置が急務だ(10月10日付・読売社説)
放射能に汚染された土壌を除去しても、それを安全に保管する施設を確保しなければ、除染作業は進まない。
政府は、大量の汚染土壌を収容する中間貯蔵施設の設置を急ぐ必要がある。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で飛散した放射性物質により、福島県を中心に広範囲の土壌が汚染された。
環境省の試算によると、除去が必要となる年間被曝(ひばく)線量5ミリ・シーベルト以上の土壌の量は、最大で東京ドーム23杯分の約2800万立方メートルにも達する。
細野原発相は1~5ミリ・シーベルトの地域も除染の対象になるとの見解を示した。そうなれば、除去する土壌の量はさらに増えるだろう。
第一原発から20キロ圏内の警戒区域と、その周辺の計画的避難区域の除染は、国が実施する。それ以外の地域については、原則として市町村が行う。除染費用は国が負担し、東電に請求する。
こうした国の方針が、ようやく定まりつつある。
住民が元の生活環境を取り戻すために、除染が最優先であることを考えれば、迅速に作業を進めるべきだ。
問題は除去した土が各地の仮置き場に滞留していることだ。空き地に野積みされたり、校庭に埋められたりしている。
住民の反対で、仮置き場の設置自体も難しい。
汚染土壌の行き場を確保するのが急務だ。そのために必要となるのが、一括して収容できる大規模な中間貯蔵施設である。
菅前首相は退陣直前、福島県の佐藤雄平知事に県内設置の意向を示したが、知事は「非常に困惑している」と語った。
政府は中間貯蔵施設の必要性を丁寧に説明し、地元の理解を得ることが肝要だ。
設置にあたっては、万全の安全対策を講じなければならない。
首都圏にも汚染が広がっている。浄水場や下水処理場では、水を浄化した後の汚泥から放射性物質が検出されるケースが相次いだ。地元自治体は汚泥の処理に頭を悩ませている。
環境省は、東京や千葉、茨城など、福島以外の7都県にも中間貯蔵施設を設置し、汚泥などを収容する方針という。設置を急いでもらいたい。
ただ、中間貯蔵施設は、恒久的な保管施設となる最終処分場に埋設するまでの一時的な保管場所である。政府は、最終処分場の確保についても検討すべきだ。
(2011年10月10日01時28分 読売新聞)
読売の記事は中途半端にいやらしい。
中間貯蔵施設の設置を各地に急ぐことには文句があるはずがありません。
嫌だなぁと思うのが、除染万能であるかのように書いてあること。
昨日見かけた福島と思える方のツイートです。
アカウントは伏せておきます。
世田谷で大騒ぎになってるみたいだけど。「避難すればいいじゃん。」「なんで避難しないの?」「子供の命より生活が大事か!」これ全部福島県民が言われた言葉~。
除染については、前にも書きましたが、最低でも大雑把に3つのグループに分けるべきだと思います。
「除染をすれば住める可能性のあるところ」、申し訳ない言い方ですが「除染をしても住めないところ」、「その中間的なところ」。
予算は限られているのですから、現実的に闇雲に手を出しても仕方ない。
また、除染に慣れていない人たちが高線量の除染に行っても危険なだけです。
非公式の記録ではありますが、50万人が除染に従事し、2万人が亡くなり、半数が放射線障害で苦しんでいるという事実から学ぶべきです。
そして、私も上に書かれたようなことを言っています。
念のために言いますが、私は東京や神奈川でさえ、避難地として適しているとは思っていません。
むしろ、この地でも普通の生活は行えないと思っています。
それでも、首都圏の多くの部分はスポットで高濃度に汚染されているだけなので避けることがある程度可能ですが、福島は広い空間が汚染されているので避けられないから言っているのです。
上のツイートは、私に向けられたものではありませんが、RTを拾ったときにとても虚しく感じてしまいました。
タイペックを着ることもなく、安物のマスクと長靴・ビニ手で除染作業をしている姿を見ると、不安になりますし、悲しくなります。
まずは、除染がどこまで可能なのか?をキッチリと検証してください。
除染は、年末の大掃除とは違うのです。