測って安心、放射線
10万円以下でも自衛に効果
東京電力の福島第一原子力発電所の事故から半年余り。首都圏でも小さい子どもがいるお母さんたちを中心に、公園や自宅の庭の放射線量を心配する人がまだ多い。テレビなどで紹介される簡易測定器の値段や性能はどうか。買う以外に道はないのか。じっくり取材した。
使い道
「世界一わかりやすい放射能の本当の話」(宝島社)を執筆した経済ジャーナリストの江口陽子さんは「日常生活を安全に送りたいという個人レベルなら、10万円以下の安価な簡易測定器でも役に立ちます」と話す。例えば、毎日測って今日の放射線量に異常がないかを知る。雨どいの下と室内などの値を比べ、値が特に高い所がないか把握する。
江口さんは「放射線量の正確な値を知るには数十万円以上の測定器が必要」と言う。だが、「比較」をするのに使い、数値の高い所に子どもを近づけない、といった判断に役立てたいのなら、10万円以下でも効果はあるというのだ。
その上で、江口さんは友人と別々の機種を買うことを勧める。「信頼性に乏しい物もあるので、1台の数値に振り回されないようにしたい」と助言する。
測定器をインターネットサイト「災害対策機器.com」で販売する「フジテックス」は測定器選びのポイントに「どこまで細かい値を知りたいか」「ガンマ線に加えてベータ線(放射線の一種)も測りたいか」「積算被曝(ひばく)量も知りたいか」を挙げる。サイトではこのポイントに沿って特徴が異なる3種の測定器を売っている。
サイトで依頼
他人に測ってもらうという選択肢もある。インターネットサイト「測ってガイガー!」(http://hakatte.jp)では、測ってほしい場所の計測を無料で依頼できる。
測定器を持っている人が依頼を見て、善意で測ってくれるかもしれない、という仕組みだ。今年6月の運営開始後、9月29日までに、依頼があった全国5854地点中3613地点が測定されている。
もちろん、測ってくれるかどうかは、やってみないと分からないし、数値が正確かどうかも保証できないが、実際にサイトにアクセスしてくる人は多いそうだ。
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1泊1万円 レンタルも
測定器をレンタルするという手もある。「ケータイラボラトリー」は、測定誤差が上下それぞれ15%という上位機種と、25%のタイプの2種類の簡易測定器を貸し出している。基本料と送料が計6825円、レンタル料が1泊につき、3675円だ。同社は「借りて使ってみてから、買う必要性を考えてみては」と勧める。(経済部 荒谷康平)
(2011年10月3日 読売新聞)