食品による内部被ばくを防げ!これが放射能対策11カ条だ
2011.10.12
福島第1原発事故から半年以上経つのに食品の放射能汚染への不安が消えない。市場に出回る食品は随所で検査が行われているが、仮に食品中に放射能が含まれていたとしても、簡単に落とせる方法がある。特別なものは必要なく、料理もよりおいしく仕上がる“秘策”とは。
【内部被曝にご用心】
一般的に、放射能の影響を受けやすいのは、成長過程にある乳児や胎児、そして子どもたちといわれている。わが子のことは心配でも、「自分は中高年になっているから安心」。実はそうは言えない状況があった。
『永久保存版 肉も野菜も魚もこれで安心 放射能を落とす下ごしらえ』(中央公論新社刊)を共著する食品ジャーナリストの椎名玲さんが説明する。
「学者によっては放射能の影響を受けやすいのは、45歳くらいまでといいますが、それ以上の年齢ならば安全と裏付けられる科学的なデータは、まだはっきりとしていません。諸説がある中で、データが圧倒的に不足している。年齢や性別を問わず、誰もが注意するに越したことはないといえます」
最も注意すべきことは、食品による内部被曝だという。チェルノブイリ事故後にオーストリア人の被曝経路を調べたデータでは、80%が食品からだった。椎名さんは、「食品に気をつけた人とそうでない人では、汚染度に約2倍もの差が出たとの報告もあります」と指摘する。
【流水で洗う、湯がく】
市場に出回る食品には、暫定規制値が設けられ、検査を受けたものは安全とされている。でも心理的な不安は残る。それを払拭するには、ひと手間加えて食品を下ごしらえすると、放射性物質を減らすことができるという(別表参照)。
「昔ながらのおばあちゃんの知恵を活用し、食材を下ごしらえするだけで放射性物質を減らすことができます。ひと手間加えるだけで、料理もおいしく仕上がるでしょう」(椎名さん)
流水で洗う、あるいは、湯がいたり、ゆでこぼしたり…。ちょっと面倒でも、そのひと手間が放射能から身を守るために重要という。
外食についても、「下ごしらえをきちんとしているお店を選ぶようにしましょう」と椎名さんはアドバイスする。
【ミネラルをたっぷり】
放射性物質が身体に取り込まれないようにするには、食材選びもポイントになる。
「放射性物質のセシウムやストロンチウムは、ミネラル類に属します。そのため、汚染されていない必要量のミネラル類を体内に満たしておけば、セシウムやストロンチウムは、体に吸収されにくくなることは考えられます」
椎名さんのおススメは、3食のうち1食は玄米を食べることと、味噌、梅干し、海藻類など。昔ながらの和食だ。ただし、高血圧の人は減塩味噌を使うなど塩分増加に注意を。偏った食生活も×。ミネラル分をたっぷり含むバランスの良い食生活を心掛けることが大切だ。
「食品の安全基準を裏付ける十分なデータがない以上、安全基準は個人個人が考えるべきです。ご自身を内部被曝からどう守るのか、今一度、考えていただきたいと思います」(椎名さん)
この際、メタボ退治も兼ねて食生活を見直してみてはどうか。
■しいな・れい ジャーナリスト。食品や健康など生活に身近な問題を手がける。原発問題の取材は2003年からはじめ、各誌で記事を掲載。元早稲田大学総合研究機構客員研究員
★放射能を落とすための「下ごしらえ」
□野菜などの食材は水道水を流したまま、流水で洗う
□指やスポンジなどで食材をこすり洗いする
□野菜は、水を張ったボウルに重曹をひとつまみ(小さじ1杯程度)入れ、その中に数分(長くても5分)浸した後に流水で洗う
□野菜や果物は、よく洗った後に皮を厚めにむき、細かくカットする
□皮をむいたりカットした野菜は、ボウルに張った冷水に数分さらす
□ボウルに張った水に塩や酢を入れて食材を浸してもOK
□沸騰している湯に食材を入れて数十秒ゆがく
□肉や魚は、表面に熱湯をかけたり、熱湯の中に入れて振り動かす、湯通し&湯ぶりをする
□食材を茹でるときには、ひと煮たちしたら湯を捨てて、ゆでこぼす
□肉や魚は血抜きをする
□カキなどの貝類は、大根おろしで洗う
※『放射能を落とす下ごしらえ』(中央公論新社)から
まあ、いろいろと思うところはあるのですが、とりあえずこれらのことは基本的なことなので知っておいて損はないでしょう。