1号機非常用冷却装置 損傷なし
10月22日4時46分
東京電力福島第一原子力発電所1号機で事故調査の焦点となっている非常用の冷却装置について、東京電力が調査した結果、装置に損傷は見られず、地震で壊れた形跡がないことを明らかにしました。しかし、いったん起動した装置を運転員が停止したとされる理由については、依然、調査中だとしていて、詳しいことは分かっていません。
福島第一原発の1号機では、3月11日の地震直後にすべての電源が失われても原子炉を冷却できる「非常用復水器」と呼ばれる装置が起動しましたが、その後、午後6時半ごろからおよそ3時間にわたって運転が停止したとされていて、当時の操作や装置の状態が事故調査の焦点の一つになっています。東京電力は、今月18日、1号機の原子炉建屋に作業員を入れて装置の状態を初めて調査した結果、装置本体をはじめ、配管や弁に損傷は見られず、地震の揺れで装置が壊れた形跡はなかったということです。また、冷却装置の水位計は65%の水がたまっている値を示していたということです。この装置が停止したことを巡っては、東京電力の関係者が、政府の事故調査・検証委員会の調査に対して、「1号機の運転員が復水器の中の水がなくなって『空だき』になっていると疑い、装置が壊れるのを防ごうと運転を停止した」と証言していて、今回の水位計のデータはこの証言と矛盾しています。これについて、東京電力は「運転員がなぜ運転を停止したかは事実関係を含め調査中で、水位計についても故障して値が正しくない可能性もある」としていて、冷却装置が停止した原因は、依然分からず、今後の事故調査で解明すべき焦点の一つになっています。