放射線量はほとんど減少せず。“除染”は本当に効果があるのか?
[2011年10月27日]
福島第一原発事故で放出された放射性物質により汚染された福島県内の各市町村で、住民による除染作業が行なわれている。だが、実際に作業にあたった住民によると、期待したほどの効果は上がっていないという。
福島駅まで車で10分もかからない場所にある閑静な住宅地・渡利地区では、7月24日に3700人以上の住民が除染作業に参加。しかし、9月14日に市民グループが同地区の放射線量を測定してみると、除染前よりも高い数値が記録されてしまった。「福島老朽原発を考える会」の阪上武氏がこう語る。
「線量は除染前の68%ほどにしか下がらなかったばかりか、渡利中学校の近くなど、逆に上昇したポイントもあったんです。私たちが9月に行なった独自調査でも、採取した5ヶ所の土壌のうち、実に4ヶ所がチェルノブイリの特別規制ゾーン、残りの1ヶ所も移住の義務ゾーンに匹敵する高い線量が出ました」
チェルノブイリの特別規制ゾーンとは、日本では福島第一原発から半径20キロメートル圏の警戒区域に当たる。5ヶ所の土壌測定を行なった山内和也神戸大学大学院教授はこう語る。
「最も高い数値を出したのは渡利地区の薬師町内の水路で、30万7565ベクレル/キログラムでした。東京都に示された環境省の基準では放射性物質を含んだ焼却灰は8千~10万ベクレル/キログラムの範囲で、かつコンクリートで固められたものに限り埋設してもよいと定められていました。コンクリートで固めて10万ベクレル以上は埋設もできない渡利地区にはその3倍以上の放射能の土壌がむき出しの状態で放置されているのです。子供と一緒にここに住んでくださいと言われても、私はハイとは言えません。渡利地区の住民は今すぐにでも避難させるべきでしょう」
山内教授によると、渡利地区は背後に弁天山など、山林を抱えているため、雨のたびに汚染された泥や葉っぱが流れ込み、それが乾燥してさらにセシウムが凝縮されているという。
「それだけに、渡利ではブラシでごしごしと水洗いしたり、汚泥を取り除くという除染は大した効果は上がりません。なのに、国も福島市も除染の一点張り。しかも、その目標も甘すぎます。2年後までに年間被曝線量を50%減らすとのことですが、今の線量の4分の3はセシウム134で、その半減期は2年。ということは、何もしなくても2年たてば、福島市の空間線量は半分近くに減るのです。つまり、国の目標値は何もしないと言っていることに等しい。これでは本当の意味での除染とは呼べません」(山内教授)
ただ「除染」と一括(ひとくく)りにするのではなく、地域ごとに異なる細やかな対応が必要だ。
(取材/姜 誠、写真/下城英悟/Green House)
〔週プレNEWS〕
残念なことに、この記事が週間プレーボーイということ。
中身はたいへん真面目に核心を突いた記事だけに残念です。
昨日、ツイッターで3年という数字を出したところ、お言葉を頂きましたが、3年の根拠は被害が目に見えて出てくるであろう年月であり、空間線量が半減される年月を意図しています。
面倒くさい説明はしませんが、セシウム134と137はほぼ1:1の割合で放出されていますが、134の方が半減期が短い。
半減期が短いということは、その間に出す放射線の量は強いということです。
現在力の強いセシウム134が力を落とすため、2年もすれば現在の放射線量の半分になるということです。
さらに詐術があって、政府は他の核種の測定をしていません。
α線やβ線の線量は意図的に隠されてしまいましたから、将来的にどのような変化をしていくのか。
これは、私でも理解できるようなデータが今のところ見つけられない…。
分かっていることは、ソ連は除染を諦めたということ。
除染によって、死者、被曝者が大量に出たということ。
除染よりも避難。
なぜこんなにも簡単なことができないのだろうか?