汚染水で内部被曝? 園田政務官を放射能医学専門家が心配
2011年11月4日 13:00
記者会見で汚染水イッキ飲み
内閣府大臣政務官、園田康博氏(44)は10月31日に開かれた政府・東京電力の統合対策室の合同会見で、福島第一原発から出た低濃度汚染水の浄化処理水を飲み干すパフォーマンスを行った。
この行為について、専門家を含め賛否さまざまな意見が飛びかっている。
安全性をアピールするために
問題の汚染水イッキ飲みパフォーマンスは、フリージャーナリストからの質問を受けて行われた。
フリージャーナリストの寺澤有氏(44)が発した「東京電力が『飲んでも大丈夫』って言ってるんですから、コップ1杯ぐらい、どうでしょう」という要望に応えて飲んだもの。
寺澤氏は「飲んだことでより多くの情報を得ることができた」と語るが、挑発とも取れる行為に「大人げない」という批判も集まっている。
内部被曝の可能性を軽視しすぎ?
岐阜新聞は岐阜環境医学研究所の松井英介所長(73)に意見を求めた。放射能医学呼吸器病学の専門家でもある松井氏は「内部被ばくをどう考えているか。低線量であれば安全であるという神話はまやかしだ」と語り、園田政務官の行為を批判した。
10月25日に行われた東電の会見では、浄化水には1リットルあたり2600ベクレルの放射性物質トリチウムが含まれていたことが判明。この値はEUが注意レベルとしている100ベクレルを超える。
トリチウムの放射線量はプルトニウムなどより少ないと言われるが、水と同じ性質を持つため、細胞内に浸透し、深刻な内部被曝をもたらすとされる。
また事故当初から放射能汚染の危険性を訴えている中部大学の武田教授は、園田政務官の行為を「野蛮」と切り捨てた。
ブログ上で「安全と錯覚させ、日本の子どもたちを病気にしたいのか」と批判した。
水ははたして本物か?
ネット上では問題の水が本物かどうか、疑念を示す声が高い。寺澤氏が水を飲むよううながしたのは、13日の会見だった。
実際に園田政務官が水を飲んで見せたのは、その18日後になる。九州電力のやらせメール問題などを見ると、原発について発信される情報について、懐疑的になるのは当然の反応と言える。
寺澤氏は飲み残しの水をもらい受けており、分析機関に回す予定という。