福島・南相馬市の子供半数の体内から少量のセシウム
2011.10.28 17:10 (1/2ページ)[放射能漏れ]
福島県南相馬市は28日、9月下旬から体内の放射性物質(放射能)を検査した市内の小中学校生のうち、約半数の子供から微量の放射性セシウムが検出されたと発表した。市は「もっとも多く取り込んだ子供でも70歳までの被曝(ひばく)量は0・41ミリシーベルトにとどまる計算。非常に小さい値で、健康への影響はないと考えられる」としている。
検査は体内の放射性物質を調べる「ホールボディーカウンター(WBC)」を使い、市内の小中学生計2884人を対象に8月1日~10月11日に実施。9月22日までに検査した2357人のうち、セシウムが検出されたのは6人にとどまった。ただ、9月26日から導入した、より少量の放射性物質を検出できるWBCで検査した527人では、199人から体重1キロ当たり10ベクレル未満、65人から同10~20ベクレル未満、3人から同20~30ベクレル未満、1人から同30~35ベクレル未満の放射性セシウムを検出した。放射性物質の摂取ルートについて、市は「空気中からか、食品からかは不明」としている。
市の今後、比較的高いセシウムが検出された子供について継続的に検査を実施する方針。
今回の結果について、内部被曝の専門家で北海道がんセンターの西尾正道院長(放射線治療科)は「予想よりもずっと少ない数値で、健康への影響は考えにくい」と指摘する。
ただ、西尾院長によると、原発事故で飛散した放射性物質は大半が放射性ヨウ素で、セシウムは1割程度。ヨウ素は実効半減期が約7・5日と短い上、放射性物質は代謝によっても排出されるため、原発事故直後からどの程度累積で被曝したかは不明という。
西尾院長は「仮に次回の調査で体内のセシウムが増えていれば、食品由来のものと考えられる。そうした場合に食品中の放射性物質の基準値を厳しくしたり、食品検査を拡大したりするなどの対策が必要になるだろう」と話した。
南相馬市は東京電力福島第1原発から北に約30キロ。