さて、久しぶりの大河ドラマです。
去年の薄っぺらいオママゴトの大河ドラマもどきに関しては、信長公のニケツで萎えてしまって、我慢して最後まで見ましたが、二度も三度も見る気になれず、観想も辞めてしまいました。
今さらですが、本当だったら「天地人」でトドメを差して欲しかったところです。
なぜか視聴率がそこそこ取れてしまったがために「江」が作られたわけですが、惨敗してくれて良かったです。
視聴率を上げるために「ストーリーを簡略化する」「登場人物を減らす」という手法はいい加減にやめて下さい。
視聴者を馬鹿にしすぎです。
ということで、1年ぶりに帰ってきた主演「コーンスターチ」さん。(笑)
助演の「煙」さんもパワーアップされています。
第1話の主役は事実上、清盛の父の忠盛役の中井貴一さん。
だいぶ歳を重ねてしまったので、デジタルハイビジョンでは青年役が厳しいところですが、そこは元信玄公。
芸暦というオーラで吹っ飛ばしています。
このまま忠盛主役で10回くらいやって欲しいところですが、最近の大河は子役を短くする傾向があるので、早くもマツケンに切り替わってしまうのが残念です。
残念といえば、清盛の母の舞子演じる吹石一恵さん。
この人は画面に出てくるとついつい見てしまう人ですねぇ。
妹役や母役、清純な役から色気のある役までこなしてしまうのですが、今回はまた芸域が広がったように思います。
たった1話でお役ゴメンはもったいなさ過ぎる。
まあ、吹石さんだからこそ、1話で十分すぎるインパクトを残して退場もできるのでしょう。
この人は目がいいなぁ。
敵役は、最近は好々爺の役が多かった伊東四朗さん。
笑顔一切無し。
権力の頂点を極めてなお欲望に突っ走る様が見事です。
驚愕のベッドシーンまであります!
さて、順を追ってみていきます。
今回の大河の語りも担当している源頼朝役の岡田将生さんから始まるわけですが、まあ見なかったことにしましょう。
いきなり北条政子役のベロ・・・杏さんがやってきますが、どうしても初回に出したかったのでしょう。
馬に乗って駆けつけて平家滅亡を知らせるなんていうのも、すでに行政機構がほぼ成立していた1185年の鎌倉にはおかしすぎますが、これも見なかったことに。(笑)
ここで、今回の大河の一つのキーワードとなる「番犬」という言葉が出てきます。
これは、平安末期の武士を知る上でも、また坂東の武士たちが事実上割拠独立するためのエネルギーの源を知る上でも重要です。
ザックリといってしまえば、地方の武士たちは、武士というよりも開墾領主といった方が良いでしょう。
法も秩序もあいまいな時代の地方の状況ですから領地争いも絶えないわけで、それを優位に進めるためには朝廷からの官位が必要です。
そのために、都からはぐれた貴族の「源平藤橘」という貴種を棟梁に戴いたり、定期的に都に上がって貴族や朝廷の警護=番犬を引き受けることになるわけです。
厄介な話ですが、官位が高ければ「不輸の権」「不入の権」などによって納税の義務なども比例して軽くなります。
しかし、そのちょっとでも高い官位(それでも昇殿は許されない)を得るためには、貴族への付け届けや、番犬暮らしで尽くさなければならないわけです。
そのためには「富」がいる。
つまり、豊かなものはより富み、貧しいものは抜け出せないシステムだったわけです。
忠盛も源為義も、都で生活できるだけまだマシという状況なのです。
武士は貧しいけれども、庶民はもっと貧しい。
それの代表としてこれから関わってくるのが「兎丸」になるのでしょうが、今回はその父親のカリビアン朧月が瞬殺されるなかで因縁ができます。
カリビアン朧月はよくよく見れば隆大介!
この人は大河に出たことはあったのかなぁ。
これまたもったいない使い方です。
子供の兎丸がまえだまえだ兄になって、最終的には加藤浩次になるようです。
初回から出生の秘密を清盛に伝えてグレさせる役割を演じています。
一つの見所が、忠盛、舞子、白河上皇の3人の対決場面。
舞子とのちの清盛となる子供の命を賭けて、最高権力者と王家の犬と対決するわけです。
しかし、所詮は番犬の悲しさで、舞子が命と引き換えで忠盛は救われます。
今回のNHKの本気度が、この舞子の射殺シーンですね。
矢が刺さってから血が吹き出るまでの時差。
人が一人死ぬという場面に「江」のような軽さが無いのが嬉しい。
これは、のちに人だけではなく、犬一匹でさえも意味を大切にしている。
死というものに対して、とくに戦争は視聴率が取れないからと戦国時代であるにもかかわらず忌み嫌って極力避けた「江」の方が、その実は人の死を大切にしていない。
だから、軽々しくモブはモブとして死んで行く。
背景の人間であっても、一人一人の死に対して丁寧に描くことの方が、実はしっかりと「生」を描けるのではないかと思います。
そういう点でも、今回の「平清盛」には少し安心しました。
舞子の死から時代は一気に進みます。
木枯らし紋次郎は見せ場も無く死んじゃってます。(もったいない!)
忠盛の海賊との戦いは、中井貴一ファンへのサービスということで見逃しましょう。(笑)
いきなり、結婚してるし、次男(のちの家盛)も生まれているし。
微妙な家庭内の立ち位置や出生の秘密の暴露などはネットリやっても仕方ないのでサラッと流してマツケン登場で次回になりました。
えーと、書き忘れたけれども松田聖子。
松田聖子と思わなければいいかな。
卵みたいだなぁというのが正直な感想。
キーマンっぽい位置づけですが、今後に期待しましょう。
摂関家の忠実の國村準さん、長男で、のちに保元の乱で勝ち側の堀部圭亮さん。
貴族の胡散臭さが出ていていいですねぇ。
同じく負ける側の源為義役の小日向文世さんも芸達者で、今後の負けっぷりが楽しみです。
崇徳院の方は未知数ですが、負けるための配役がなかなか楽しみで、保元の乱にかなりの力点が置かれているように感じます。
最後に、われらが「矢野君」の三上博史。
矢野君ったら、幾つになっても不器用なんだから。(笑)
なんでこの人の演じる役は無味無臭になってしまうのだろう。
まあ鳥羽院役だからいいのかな。
あと一人気になるのが、平家の家来で清盛の後見人役となる平家貞を演じる中村梅雀さん。
平家の「一ノ郎等」となるわけですが、大河では数々の重要な役どころを演じてきた方だけに、今後の役割が楽しみです。
世間に遅れて、まだ1話しか見ていないのですが、もう5回も繰り返して見てしまいました。
「王家」とか「兵庫県知事」とかで外野が五月蝿いですが、このテンションを最後まで保って頂きたいと願っています。