神奈川県というイメージと比べると、ずいぶんと過疎な感じのする地域の一画にそれはありました。
父の性格を考えると、死に行く自分に対して周囲が哀れみの言葉をかけてもらうのを喜びとするだろう。
すると、ますます増長して、母や弟を苦しめることになるだろう。
放っておけば、母も弟もそのときに直面して初めて気がつくのだろうし、気がついてもそこで思考停止をするのが目に見えている。
親父が入院しているのがチャンスなので、自分もどんなところなのか分からないのですが、このホスピスに母を連れて見学にきました。
武蔵野の地形を髣髴させるような起伏のある雑木林の中。
入り口からして、ちょっとしたホテル並みの立派な作りに少し圧倒されました。
登録用紙などに記入をして、しばらく経つとボランティアさんがきて、館内を案内。
もちろん有料ですが、入院患者さんの家族が泊まる用の部屋などは、ちょっとしたホテルよりも立派なものがあり、個室一つ一つもまさにホテル。
しかし、普段は隠されているものの、木の扉を開けると酸素吸入器などの病院としての機能も備わっています。
週末を迎える人たちのために、たくさんのボランティアたちがお茶会を開き、習い事教室を開き、また、視聴覚室や小さなコンサートホールなども備え付けられています。
20数人の患者のために、その倍以上のスタッフが働いているそうですが、死までの時間を過ごす場所なのに、死の匂いのしない空間でした。