会見直前、抗議押し切る=細野補佐官、班目委員長発言部分-「再臨界危険性」
東日本大震災の発生翌日、福島第1原発1号機への海水注入は「再臨界の危険性がある」と班目春樹原子力安全委員長が首相官邸で発言したと政府・東京電力統合対策室が発表した後に訂正した問題で、同委員長は23日、同対策室の21日の記者会見の十数分前に発表文を示され、配布の中止を申し入れたが、「もう配ったから無理だ」と押し切られたことを明らかにした。
また、同委員会事務局の加藤重治審議官によると、同審議官は会見前の打ち合わせで細野豪志首相補佐官に「違うのではないか」と抗議。同補佐官から「一言一句この通りではないが、その場(官邸)にいた皆が言っていることだ。(当時)あなたはいなかったよね」と言われたという。
海水注入をめぐっては当初、菅直人首相が再臨界を懸念して中断を指示したと報道されたが、細野補佐官が21日の統合対策室会見で、官邸は当時海水注入開始を知らず、中断は東電の判断だったと否定。班目委員長が「再臨界の危険性」を発言したと発表した。同委員長は22日、海水注入で再臨界の危険性が高まることはあり得ないと細野補佐官に申し入れ、「可能性はゼロではない」と訂正された。
細野補佐官は23日の統合対策室の記者会見で、班目委員長の発言内容が「訂正で大きく変わったとは認識していない」と述べた。
東電は3月12日午後7時4分に海水注入を始めたが、官邸で再臨界の可能性が議論されていたため約20分後に中止。政府命令を受けて同8時20分に再開した。
班目委員長は23日、55分間の中断について、「どれぐらいの炉心溶融につながるか不明だが、悪い方向にいくことは確かだ」と述べた。(2011/05/23-19:13)