【 放射能汚染レベル調査結果報告書渡利地域における除染の限界 】
神戸大学大学院の山内教授のレポートです。
冒頭の概要を抜粋します。
概要:2011年9月14日、福島市渡利地区において空間線量の計測を実施した。「除染」が行われたということであったが、6月の調査において最も高い線量を記録した側溝内堆積物には手が付けられておらず、地表面における空間線量は当時の2倍に上昇していた。「除染」のモデル地区としてある通学路がその対象になったが(「除染モデル事業実施区域」)、その報告によると平均して7割程度(約68%)にしか下がっておらず、空間線量も1〜2 µSv/hに高止まりしている。今回の調査においてもその通学路の周辺において20 µSv/hを超える非常に高い線量が地表面で計測された。コンクリートやそれに類する屋根の汚染は高圧水洗浄によっても除去できておらず、住宅室内における高い線量の原因になっている。除染の対象にはされなかった地域の水路や空き地、神社、個人宅地内の庭で高い線量が計測され、最も高い線量は地表で20 µSv/hを記録した。本来の意味での除染はできていない。
何度か書いていますが、「除染」については良く考えたほうが良いと思います。
よく考えるというのは、まず優先順位です。
限られた予算の中で、全てを除染するのは人も金も足りないでしょう。
市町村レベルの個々の除染も必要だと思いますが、国が指導力を発揮して、可能・不可能、後・先をキッチリと決めたほうがいい。
藪から棒に何でもかんでも除染できるという幻影は捨てさせるべきだし、避難民の方々には怒られるでしょうが、国はハッキリとその立場を取る必要があります。
人が住むというのは、その周辺だけの線量が下がればよいものではありません。
生きる基本である、飲み水や畑に撒く水、家畜に飲ます水などを生み出す山から除染をしなければ、人が生きていける空間とは言えないでしょう。
ツイッターをみていても、雨が降っているとそれによってセシウムは流れると思っている人が多いように感じます。
よく学んでいて、数千や1万のフォロアーを抱えている人でさえ、勘違いしている。
しかし、実際にはひと雨ごとにセシウムは土に染み込んでいく。
日本よりも雨の少ないウクライナで1年に1cmと言われていますから、雨が多い日本では放っておいても、もっと早く深く汚染されていくでしょう。
コンクリートも、屋根や壁も例外ではありません。
ある程度は流れるでしょうが、ある程度は残って染み込んでしまうでしょう。
私の家は、大変カタツムリが多く、梅雨から秋の長雨のシーズンまでの間は、壁によく張り付いていました。
あれは、壁を溶かして食っているんですね。
今年の夏は、そのカタツムリを1匹も見ませんでした。
私は、放射能による汚染と無縁ではないと思っています。(科学的根拠はなし)
ですから、上のレポートは、チェルノブイリのデータからみれば十分に予測できることですし、除染に限界があるのは事実でしょう。
ソ連が、土地も町も乗り物も放棄した理由から学ぶべきです。
こういうことを書くのは大変心苦しいですが、出来るところと、出来ないところと、出来るかもしれないところの線引きを国が責任を持ってやるべきです。
それは、ある程度の土地を諦めることを意味しますが、一部の地域では諦めてもらうための除染が行われている気がしてならない。
除染利権に群がる人たちを潤わせているようにしか思えない。
それならば、その費用を子供たちの未来を守るために使ってほしい。
被災者たちが前を向ける政策をとってほしい。
今からでも、疎開は遅くない。
国の除染マジックに騙されてはいけない。