原発のコスト検証 ベストミックス探る礎に
(2011年10月19日午前6時36分)
東京電力福島第1原発事故を受けたエネルギー政策見直しの一環として、原子力や再生可能エネルギーなど電源別の発電コストの検証が始まった。これまで「原発は火力や水力に比べてコストが安い」として推進の根拠となってきたが、果たして本当なのか。一方で、太陽光や風力といった再生可能エネルギーはどこまで導入可能かを問う作業となる。
2010年版のエネルギー白書で1キロワット時当たりの発電コストは、原発が5~6円、LNG火力7~8円、水力8~13円、風力10~14円、太陽光49円とされている。安定供給や発電中に二酸化炭素を出さない点に加え、経済性でも原発は優位性があると強調されてきた。
しかし、福島の事故を契機に安全性ばかりでなく、原発のコストに対しても疑問が投げ掛けられている。
これまでの試算では、放射性廃棄物の処理や運転を終えた後の廃炉費用は含まれず、事故が起きた場合の損害賠償も考慮されていない。こうした費用を加えれば原発のコストは大きくはね上がる。
また、新増設などのため立地自治体に配分される電源三法交付金の原資として電気料金に上乗せされる電源開発促進税もコストに加えるべきだとの指摘もある。国の政策に沿って事業者が開発や運転に当たる「国策民営」の日本的なシステムのもとでは、コストの全体像が見えにくいのが実態だ。
政府はエネルギー・環境会議の下に検証委員会を設け、現在や将来の発電コストを試算。年内に報告をまとめる予定だ。原子力委員会は核燃料サイクルのコストや過酷事故時のコスト上昇額も試算するという。
政策選択の材料として原発のコストが検討されるのは初めてではない。現在の原子力政策大綱が策定される過程では核燃料サイクルのコストが焦点となった。使用済み核燃料を全量再処理する場合、地中に埋設する直接処分に比べて割高とされたが、政策変更に伴うコストなどを含めた総合的な判断として再処理路線が継続された。ただ、高速増殖炉や使用済み核燃料再処理工場はその後も停滞を続けており、再検証は当然だ。
原発をめぐる政策論争では推進派、反対派の意見が相いれず、現実に合わせた柔軟な修正を阻んできた側面がある。「脱原発か、原発推進か」の不毛な二項対立からは脱却が必要だ。期待が先行している再生可能エネルギーの可能性と課題についても、現実を見据えた冷静な検討が求められる。
コスト試算は中長期的なエネルギーのベストミックス(最適の電源構成)を導き出す前提となる。その上で、安定供給性や環境への影響など多角的な検証が求められるし、開かれる形での議論が欠かせない。将来のエネルギーをどう選択するのかは、国民的な議論を経て結論を出すべき問題だ。
「ベストミックス」という言葉を見たときには、注意したほうがいい。
たいてい、中身は原発推進だ。
もしくは、自分の頭で考えていないで、言葉の感じがカッコイイから使っているだけ。
福井では、わざわざ自分の県が貧乏になるような選択はなかなか出来ないだろう。
結果論ではあるけれど、福井は行政の対応が誤ったのだと思う。
原発を誘致し裕福になったところで、そのお金を「殖産興業」に大きく当てるべきだったのでしょう。
あまり知られてはいないけれど、福井はたいへん裕福で豊かな県です。
失業率も低く、日本らしい産業の多くが残っている。
治安もよく、勉強に対する意欲も高い。
しかし、一皮剥けば、それは原発の利益によってもたらされていたこと。
福井の良さを残しながら、なんとか原発依存から脱却して欲しいものです。