もんじゅの名、許されるのか 永平寺の僧が原発シンポ
2011年10月30日5時0分
曹洞宗大本山永平寺(福井県永平寺町)で修行僧を指導する僧らからなる寺内組織「禅を学ぶ会」が11月2日、「いのちを慈しむ~原発を選ばないという生き方」と題したシンポジウムを開く。生まれ来る命にも思いを寄せた釈迦(しゃか)の言葉を引き、放射性廃棄物という「負の遺産」を子孫に残していいのか問いかける。
燃やした核燃料より多い燃料用のプルトニウムが得られるとされた高速増殖原型炉「もんじゅ」、日本が独自に開発を進めていた新型転換炉「ふげん」の名は、1970年、動力炉・核燃料開発事業団(現・日本原子力研究開発機構)の幹部が、知性と実践を象徴する文殊(もんじゅ)と普賢(ふげん)の両菩薩(ぼさつ)から取った。
「文殊菩薩の智慧(ちえ)は仏教の智慧であり、科学知識とは違う。許される名前ではなかった」と、同会の西田正法事務局長は話す。仏教者として菩薩と世間におわびしたい思いから、シンポジウムを企画した。
釈迦は「すでに生まれているものでも、生まれようと欲するものでも、一切の生きとし生けるものは幸福であれ」と説いたという。原発を動かす限り、半減期2万4千年のプルトニウム239が生み出され、子孫に残される。西田事務局長は「『私たちさえよければ』という欲に支えられた利益を漠然と享受してきたことを自覚し、一人ひとりが生き方を選ぶためのシンポジウムにしたい」。
午後1時~同3時40分、永平寺町山の「四季の森文化館」で。同県小浜市の明通寺住職、中島哲演さんや、避難を余儀なくされた福島県飯舘村の酪農家長谷川健一さんの講演のほか、作家・朴慶南(パク・キョンナム)さんを交えたパネルディスカッションがある。定員400人、入場料500円。申し込みは、同会事務局(0776・63・3456)。(荻原千明)