原発の発電コストは一体いくらなのか?
国の原子力委員会の「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」は25日、原発事故で上昇する発電コストは1 キロワット 時当たり、0・1~1円とすることで合意した。
これまで他の電源と経済性を比較するコスト試算の際に含んでいなかった事故の損害費用を初めて求めた。従来の試算コストに上乗せとなる。
東京電力福島第1原発を参考に損害費用を試算したが、現段階では除染費用は一部しか含んでいないなど、損害が過小評価だとの批判もある。
原子力委事務局は第1原発のような過酷事故が500年に1回起きる場合は1 キロワット 時当たり1・2円、10万年に1回の場合は0・0046円との試算結果を示し、小委員会は、その中間の費用を採用した。
政府のエネルギー・環境会議に報告、火力や再生可能エネルギーなど他の電源のコストとの比較に使われる。試算結果は参考値とする。
通常、発電コストは発電所の建設費、燃料費、運転維持費などを足した総費用を、出力と稼働時間を掛け合わせた発電総量で割り、1 キロワット 時当たりの単価を求める。
福島第1原発事故で、総費用には事故費用の加算が必要との意見が強まった。事務局は第1原発事故を参考に、出力120万 キロワット の原発の事故を想定。事故費用を3兆8878億円と見積もり、この原発を40年間、稼働率60~80%で運転した場合の総発電量で割った。さらに事故発生頻度を、第1原発事故を考慮した「500年に1回」と、国際原子力機関(IAEA)の安全目標の「10万年に1回以下」で試算した。
結果は、特定の原発の発電コストではなく、日本の一般的な原発の発電コストとして扱われる。
ただ第1原発事故で、除染で出た放射性廃棄物の中間貯蔵施設や、森林の除染費用は含めておらず、今後の状況により見直すという。
小委員会メンバーの原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「損害費用が少なすぎる。48兆円に達する」として事故コストは1 キロワット 時12~16円と主張した。
発電コストは近年、研究者やシンクタンクなどが原子力は1 キロワット 時7~12円程度と試算、石炭火力や天然ガス火力と大差ないとの結果が多い。
また使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して利用する核燃料サイクルの費用と、再処理せず地中に埋めて直接処分する費用の試算結果も比較。再処理すると1 キロワット 時1・98円、直接処分は1~1・02円と再処理の方が約1円高い結果になった。(共同)
[2011年10月25日19時51分]
核燃料サイクル 発電コスト2倍に
原子力発電にかかるコストを試算している国の原子力委員会は、原発の使用済み燃料からプルトニウムを回収して再利用する「核燃料サイクル」について、燃料をそのまま処分する方法に比べて、1キロワットアワー当たりの発電コストが2倍になるという試算結果を公表しました。
この会合では原発の使用済み燃料からプルトニウムを回収して燃料に再利用する核燃料サイクルのコストも試算され、1キロワットアワーあたり1.98円から2.14円でした。これに対して使用済み燃料をそのまま処分する場合は、1キロワットアワー当たり1円から1.35円で、再利用の方がおよそ2倍コストがかかる結果になりました。
国が原子力政策の柱とする核燃料サイクルを巡っては、青森県六ヶ所村にある使用済み燃料の再処理工場が相次ぐトラブルで本格的な稼働に見通しがたっておらず、今回の試算結果は福島第一原発事故を受けて抜本的な見直しを迫られている今後の原子力政策の議論の行方にも影響を与えそうです。
プルトニウムの問題は、コストの問題なのだろうか?
危険性のもんだいじゃないの?