はっきり言って書くのが苦痛。
まあ、書くも書かないのも自由ではあるんですが。(笑)
今回は、見終わった後に不快感とか脱力感しか浮かばなかったですね。
イカロス号事件のポイントは、
「龍馬が解決すること」ではなく、「弥太郎と仲違いすること」でもなく、「お元がイギリスに行くこと」でもない。
ちなみに、イカロス号事件の下手人が福岡藩士の金子才吉であることが発覚することは、龍馬の死後である明治元年になってから。
イカロス号事件の最大のポイントは、この事件に土佐藩がかかりっきりになることによって、薩摩・長州両藩が武力討伐の準備を大きく進めてしまったことに尽きます。
歴史にifは好きではないのですが、イカロス号事件が無ければ、従来の日本史のように「大政奉還」後すぐに「鳥羽伏見の戦い」に繋がる可能性は低くなったはずです。
イカロス号事件によって、龍馬も土佐藩も40日ほどのロスを強いられていますからね。
もっとも龍馬伝的には、「大政奉還」も「鳥羽伏見の戦い」も龍馬の死後の世界の話なので、この事件による政治的な事情はドーデモイイのかもしれませんが、幕府と土佐と薩摩・長州と朝廷の丁々発止のせめぎ合いが面白いこの時期に、なんてくだらないことで尺を埋めているのか…。
実際の龍馬も後藤象二郎も、この事件そのものよりも、この事件に関わることによって「大政奉還」が遅れ「武力倒幕」が進むことを自覚していたでしょうし、この事件に費やす日々をギリギリと歯軋りする思いで過ごしていたでしょう。
省かれてしまいましたが、この事件の最中には先週結んだ「薩土盟約」も解消されることになってしまいますし。
龍馬のやったことには、大きな成功も多いですが、それ以上に失敗も多いんです。
その失敗にめげることなく前に進み続けるのが龍馬の魅力であり、それの集大成とも言えるのが、本当は「いろは丸号事件」なんですけどね。
まあ、龍馬伝に政治を求めるのは諦めていましたが、今回がこんな作りなら省いちゃった方が良かったんじゃないでしょうか?
龍馬伝的には、本編冒頭で龍馬が弥太郎に「ミニエー銃」を発注する程度が政治ですからね。
それでも「平和主義者」龍馬として、絶対戦争なんか考えないように描かれるよりマシといえばマシでしたが。
今回は、一応はお元の最終回になるのでしょうか。
つくづく思ってしまうのがお元の安っぽいこと安っぽいこと。
「長崎奉行の隠密」設定、「キリシタン」設定、「父親に捨てられた貧しい漁師の娘」設定の「ナンバーワン芸子」などのすべての無理こそが「わやくちゃ」。
放送終了後に「セカンドバージン」なんて際どいものを流しているクセに、NHK的良い子ちゃんからか、龍馬とお元の繋がりは不明のままなので、結局回が進むにつれて「わやくちゃ」が酷くなるばかり。
お龍が長州に行くのは上手く処理できましたが、清風亭の会談やいろは丸号事件の歌を流行らすこともふくめ、お元との関係をある程度しっかり描く(作る)ことをしないツケがでています。
だから、妻帯者である龍馬が、危険を冒してお元を探し回るのも、まずお元が追われる設定が安っぽすぎて、徹夜で探す龍馬もますます安っぽい。
さらには、海で倒れるお元も、それを見つける龍馬も安っぽい。
長崎の街って言うのは九州の小さな漁村で、奉行所と歓楽街を見て回って海を探しに来たってことがない限り、見つける確率なんて天文学的な数字だろうに、龍馬伝ではそれが起こりすぎです。(苦笑)
私は仕事の関係で1年に一回ほど街を走り回って人捜しをしますが、丹沢山麓の小さな街でさえ捕まえることができるなんてほとんど無いです。
あとねぇ・・・。
イギリスって「国教会」でしょ。
お元は「カトリック」だよねぇ・・・。
しかも肌の色の違いによる差別もあるでしょう。
イギリスに行ったところで、とても「誰もが笑って暮らせる」ような状況にはならないだろうに、キリシタンだから外国にっていうのは雑すぎ。
蒼井優はがんばっていたんだけどなぁ~。
今回は、他にも龍馬伝の悪いところが出過ぎでしたが、その一つがお元国外逃亡にも関わるイギリス。
本当に、龍馬暗殺の黒幕がイギリスを中心とする「フリーメイソン陰謀説」にするのならともかく、「いろは丸」の回といい、ここのところの龍馬はイギリスに媚びすぎではないでしょうか?
その割には、今週も「外国の侵略を食い止める」(澤村)などと言っていて、その整合性について劇中で語られることがないから居心地が悪い。
さらに龍馬伝の悪いところが「土下座」。
当時の外国人に土下座をしても、今の私たちが龍馬伝の龍馬が土下座をしている場面を見てその重みが分からないように、分からないだろう。
武士が土下座をする重みが描けていないから、龍馬の土下座が軽すぎて土下座無双にしか見えない。
さらには、最近よく出てくるのが「わしは国のために働らいちゅう」。
ずーと我慢していましたが、それは龍馬が判断することじゃない。
会社の同僚が、
「わしは会社のために働いちゅう!」
なんて言ったらむかつくでしょ。
働いているのか、働いていないのかを判断するのは、周りの人間でしょ。
だから、自称「国のために働いちゅう」と土下座無双でパークスを納得させちゃう展開はマヌケすぎる。
今回は、龍馬の大芝居に匹敵するシラける回でした。
ところで、SPの石田さん(神尾佑)が出ていたのは気がついたでしょうか?
龍馬を捕まえに行く長崎奉行の役人役です。
なんと!役名無し!
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