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数ある龍馬ものの中で、今回ほど坂本春猪の露出が多いのは記憶にありません。
春猪は、権平にいやんの子供で、龍馬さんからは姪にあたります。
しかし、龍馬と権平は21歳違い、龍馬と春猪は8歳違いですから、龍馬は春猪を妹のように可愛がったと伝えられています。
今回は、脱藩の回でもありましたが、日常の坂本家の最後の日でもあったわけです。
龍馬伝が始まって以来、微かではありますが常に春猪の存在が描かれていたので、何か重要な役所があるのだろうとは思っていましたが、春猪を通しての坂本家の龍馬の喪失というのは企画としては良かったと思います。
で、まあ、春猪ちゃんですが、流行りの小娘じゃなく、ずいぶんと芋っぽい子供を連れてきたものだと、ちょっと安心してみていました。
今回はクローズアップされたところなのでウィキしてみたところ、前田敦子という女優らしいということでクリック…AKB48!
アイドルには弱い私ですが、さすがにこの名前は記憶にあります。
さらに、公式サイトをクリック………別人じゃん!
いやー、化粧が凄いというべきか、大河のメイクが凄いというべきか、驚きました。
第13回で、第1章「RYOMA THE DREAMER」は終了なのだそうです。
脱藩したところで章が変わるのは悪くないかもしれない。
第1章は吉田東洋暗殺で幕を閉じるわけですが、そのあとに武市がどのように藩政を掌握するのかなんて言うところは本編からは大きく外れてしまうわけで、その他の周辺人物たちのゴチャゴチャとした変化も、章が変わることで省略できてスッキリとするのでしょう。
しかしですよ、しかし。
前回のところで書いた危惧が現実となってしまったのが今回です。
「なぜ龍馬は土佐に居づらくなったのか」
「なぜ脱藩の必要があったのか」
そういうところをキチンと描かずに、脱藩の必然性を感動シーンで流してしまったように感じます。
後藤象二郎の龍馬暗殺指令などは必要だったのでしょうか?
下士は虫けらで、下士と下士を殺し合わせる…ことの虚しさを表現したかったのですかね。
いつもは楽しい岩崎家パートも、なんだか今回はイラッとさせられただけ。
龍馬と東洋の会見でも、東洋さんの着物の裾捌きの美しさに一瞬目が奪われましたが、「土佐のことだけは考えられない」なんて龍馬が言いだして白けました。
武市との雀の話も余計と言えば余計。
自分の無力さを知ったという描写なんですかね。
もっと余計だったのは乙女ねえやんの大演説。
「脱藩」は目的ですか?手段ですか?
乙女ねえやんは、龍馬のことを信じて、信じて、信じまくって後世に名を残しているわけですからアリなのかもしれませんが、「龍馬は土佐におさまり切らん」とか、あまりにも結果を知っている現代人からの視点のように感じてなりません。
まだハッキリと「ソンノージョーイのために脱藩するがぜよ」とか龍馬が言ってくれた方がスッキリする。
「尊皇攘夷」のためでもない「平和主義者」が、何をするかも分からないまま脱藩をして浪人になって誰が相手にするかということは、後の歴史を知らない当時の人たちにしてみれば、脱藩というよりは脱走。
どう見ても、
自分探しの旅
に出たとしか思えない。
実際、私は龍馬の脱藩は「自分探しの旅」であったと思うのですが、もうちょっと「わけがわからんけどともかく攘夷」という考えがあったように思うのです。
ハシカにかかったように脱藩しちゃったんじゃないかと。
この時期の龍馬は、そんなに偉いもんじゃないですよ。
これから、龍馬の持っているツキというか、偶然に偶然が重なって、龍馬の大回転が始まるわけです。
しかし、いまのうちはもう少し「攘夷」の方に振っておかないと、勝海舟との邂逅で「開国」に振れる勢いが足りないようにも感じます。
坂本龍馬の魅力というのは、悩んで、ぶれて、悩んで、ぶれて…という揺さぶりが何度も繰り返された中で偉業を成し遂げたことではないかと思うのです。
悩んでぶれるところに、自分を投影しやすいのですね。
そこらへんが、龍馬伝では微妙に「平和主義者龍馬」という、最近の大河ドラマにありがちな主人公像のワクに早くから固定されてしまって、面白みを捨ててしまったように思います。
それから、「なんでも龍馬」はやめましょうよ。
何となく「なんでも兼続」のトラウマが甦ってきてしまって、白けます。
いまCSでは「草燃える」をやっているのですが、いまのNHKに作り替えさせたら、頼朝が壇ノ浦に行って平家を滅ぼしちゃうような勢いを感じます。(笑)
そういうのは「助佐(黄金の日日)」や「兼続(天地人)」でお腹いっぱいです。
その時代のその人物の役割というのがあるのですから、主人公であっても、ときには主役でときには脇役・傍観者というのもアリだと思うのですが、それじゃあ視聴率取れませんか?
公共放送なんだから、視聴率は気にしないでいいでしょ。
変に媚びないで、後世に恥ずかしくない作品を作りましょうよ。
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