玄海4号機運転再開へ 九電、地元同意「必要ない」
2011年10月31日更新
九州電力玄海原発4号機(東松浦郡玄海町)が人為的ミスによるトラブルで自動停止した問題で、経産省原子力安全・保安院は31日、九電が提出していた原因分析と再発防止を明記した報告書に対して「おおむね妥当」と評価した。これを受け、九電は運転再開の方針を発表。「運転再開は事業者判断」とした保安院の見解を根拠に、立地自治体の首長の同意は「必要ない」として、同日夜から運転操作の準備に入った。地元同意もないままの再稼働には批判が出そうだ。
保安院は、九電が10月21日に提出した報告書について「原因が適切に推定され、対策が取られている。おおむね妥当」と評価した。4号機は定期検査で停止した原発の再稼働条件としている安全評価(1次評価)の「対象外」とし、「運転再開は事業者判断」としている。
九電は国の評価を受け、県と玄海町に12月中旬に予定している定期検査前に、いったん運転を再開する意向を伝えた。10月21、22日には同町内の全戸に原因と再発防止策を記したチラシを配布。「住民への理解活動は進めてきた」として、立地自治体の首長の同意は「必要ない」としている。4号機は高温停止状態で、運転操作開始後、早ければ1日で発電を再開、4、5日で通常運転に復帰する。
4号機は10月4日、誤った補修作業の手順書に沿って復水器を真空状態に保つ蒸気元弁の部品交換を行った結果、空気が入って自動停止した。
岸本英雄玄海町長は「地元の同意事項ではなく、国の判断に異論を挟むのは難しい。ただ、国が大丈夫というからすぐに運転再開というのはいかがなものか」と疑問を呈し、1日にも国に対して「妥当」と判断した理由を確認する考えを示した。
福島第1原発事故を受け、国内の原発54基は定期検査で順次停止し、現在、稼働しているのは玄海1号機など10基となっている。
〔佐賀新聞〕
玄海原発4号機再開へ=12月中旬には全基停止-九電
九州電力は31日、作業手順の誤りで運転を自動停止している玄海原発(佐賀県玄海町)4号機の稼働を数日中に再開すると発表した。経済産業省原子力安全・保安院が同日、同社の対策などがおおむね妥当と評価したため。九電幹部は「地元からも積極的ではないものの、再開の了承を得られた」としている。
ただ、九電の原発は、玄海4号機が12月中旬、同1号機が12月上旬にそれぞれ定期検査に入り、保有する6基が全て停止する。6基が停止すると九電の電力供給力は1353万キロワットとなり、冬場のピーク需要予想1420万キロワットに対して4.7%の不足が予想される。こうした状況から九電管内では5%の節電要請が実施される見込みだ。
(2011/10/31-23:47)