【Q&A/核分裂と臨界】2号機で臨界の可能性 溶融燃料の状態が鍵
福島第1原発2号機で、溶け落ちた核燃料が連鎖的に核分裂し臨界となった可能性があると東京電力が発表した。
Q 臨界とは。
A 原発の燃料のウランが核分裂し、放出される中性子が別のウランに当たって核分裂を起こす連鎖反応が続く状態のことだ。原発は臨界状態をうまくコントロールし、核分裂で生まれる大きな熱エネルギーを利用して発電している。
Q なぜ分かったのか。
A 原子炉格納容器内の気体から、核分裂でできる キセノンが検出された。キセノンは放射線を出す能力が弱まるのがとても早いため、3月の事故発生時にあったものが残っているとは考えにくい。 ごく近い時期に核分裂が起きたとみられる。
Q 考えられる原因は。
A 臨界が起こるには、ウランが適度な大きさや形状になっていることと、水の存在が必要。通常の原発では、臨界が最も効率よく起こるように設計されており、福島第1原発のように燃料が溶け落ちると、このバランスが崩れて臨界は起こりにくくなると考えられていた。2号機の燃料の状態は不明だが、形状や水との関係で、臨界が起こる条件がそろってしまった可能性がある。
Q 危ないのか。
A 東京電力は中性子を吸収するホウ酸を含んだ水を原子炉に注入。これは通常時に原発を停止させる制御棒と同じ材料だ。原子炉の温度や圧力に変化はなく、大きな危険はないとみられる。
Q 影響は。
A 原子炉への循環注水冷却は継続しており、東電は事故収束にむけた作業に支障はないとしている。しかし政府と東電は1~3号機を安定的な「冷温停止」状態に達したと年内に判断する意向だったが、今後の動き次第では延期などの可能性もあり得る。
(2011年11月2日、共同通信)